経済安全保障推進法に基づき安定供給を図る「特定重要物資」に、半導体や蓄電池など11分野が指定対象に挙げられている。政府は年内に閣議決定し、各省で取り組み方針を策定するようだ▼いずれも「国民の生存に必要不可欠」「供給が特定国に偏り国外に過度に依存」などの要件を満たす分野が対象。サプライチェーンの強靱化に向けた民間企業らの対応を、国が積極的にサポートする▼そうした中で象徴的なプロジェクトが熊本県内で進んでいる。半導体受託生産で世界最大手の台湾積体電路製造(TSMC)が工場を建設中。1兆円規模とされる設備投資を呼び水に、周辺開発やインフラ整備の動きも活発化している▼地元の建設業界で期待が膨らみ、先行きの経営環境は明るいのかと思いきや、そうではない意見も。地場中小企業が活躍する場は限定的で、給与の高いTSMCに貴重な働き手の若者が流れるのではと危機感を募らす▼近年、地方では自然災害の復興需要が建設市場を下支えしてきた感が強い。持続可能な建設業の実現には長期安定の需要確保と合わせ、労働者の処遇改善に継続して取り組む必要がある。
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