関東地方整備局鹿島港湾・空港事務所は、茨城県鹿嶋市で進めている洋上風力発電の基地港整備で、二酸化炭素(CO2)排出量の削減に取り組む。施工を担当する東洋建設とも連携し浚渫土砂を活用し、蓄電システムを搭載した浚渫船を投入。陸上作業ではハイブリッド建機を使用する。脱炭素社会の実現に向け国土交通省が進めるカーボンニュートラルポート(CNP)の取り組みの一環で、環境に配慮した施工を目指す。
同事務所では2024年度の完成を目指し、鹿島港外港地区(鹿嶋市平井)で洋上風力発電向けの基地港を整備している。水深マイナス12メートルの岸壁(延長200メートル、自立矢板式)と航路泊地、埠頭用地(約1・6ヘクタール)を設ける。埠頭用地は大型の洋上風力タワーが6基分同時に保管できる広さ。仮組み立てなどの際、大型クローラークレーンを使うことを想定し、1平方メートル当たり350キロニュートンの地耐力を確保する。
同事務所では再生可能エネルギーの洋上風力発電を、運転期間だけでなく、施工期間も低炭素社会の実現に寄与するよう、官民連携でCO2排出削減に取り組む。岸壁背後の埋め立てに前面泊地の浚渫で発生した土砂を再利用し、輸送などで発生するCO2排出量を削減。土の中の有機物の分解によりCO2が排出されるのを防ぐため、浚渫土を長期間仮置きせず、土砂表面を覆うなどの工夫を施す。
施工者の東洋建設は蓄電システムを搭載した作業船を投入。浚渫作業中の余剰電力を蓄え、夜間の生活電力に用いることで発電機の使用を減らす。陸上作業でもハイブリッド油圧ショベルを使用。車体旋回ブレーキ時のエネルギーを回生して蓄電し、アーム上下動作や車体旋回をモーターでアシストすることで燃料の消費を抑制する。
同社はソーラーパネル付き現場事務所、小型風力発電機なども採用し、現場での環境負荷低減に取り組んでいる。
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