2022年11月28日月曜日

東北整備局ら/気仙沼湾横断橋で初回点検、ドローンなど支援技術で橋梁診断

 東北地方整備局と国土技術政策総合研究所(国総研)は24日、点検支援技術を活用した気仙沼湾横断橋(宮城県気仙沼市)の初回点検を実施した。道路関係者でつくる「宮城県道路メンテナンス会議」の構成機関などから参加した30人に公開。ドローンによる撮影など支援技術を試行し、橋梁の塗膜状態などを見て損傷の有無を確認した。
 点検箇所は2021年3月に開通した気仙沼湾横断橋のP11橋脚(朝日ふ頭)。5年に1度の頻度で近接目視による健全性診断を義務付ける橋梁定期点検要領に基づく初回診断になる。直轄国道は初期損傷を早期に発見するため、供用後2年以内の初回点検が定められている。
 同日は国土交通省の「点検支援技術性能カタログ」に登録されている支援技術などを試行した。冒頭、東北整備局道路部の石津健二道路保全企画官は気仙沼湾横断橋のように構造が複雑で大規模な橋梁の点検では「部位や部材に応じてさまざまな点検支援技術を活用することで効率的・効果的に必要な情報を取得でき、点検の省力化や質の向上が期待できる」と説明。
 国総研道路構造物研究部橋梁研究室の岡田太賀雄主任研究官は、道路橋法令定期点検の施行経緯や概要、診断・記録の省力化に向けた取り組みなどを紹介。「設計・施工品質にはばらつきがあり、排水の実態など完成後に分かることもある」と初回点検の重要性を強調した。
 気仙沼湾横断橋は三陸沿岸道路のうち気仙沼湾を横断する全長1344メートル(うち海上部680メートル、陸上部664メートル)、幅員11メートルの鋼3径間連続斜張橋。東北整備局が管理する直轄国道では初の橋梁形式になる。高さ115メートルの2本の白い主塔が特徴で、最大支間長は東北最大の360メートル。
 点検ではドローンを飛ばすことで主桁の下部や側面などを撮影し、塗膜状態の画像を取得。さびの有無を確かめたほか、オルソ画像作成による記録の省力化を試行した。主塔の上部側面は金属製の壁面を走行できる「マグネット式全方位点検ロボット」で表面の変状を確かめた。西松建設と佐賀大学が共同開発した斜張橋斜材点検装置「コロコロチェッカー」の実機も展示。ケーブルの断面積(磁束量)測定などで活用する。
 試行結果を踏まえ気仙沼湾横断橋の点検マニュアルを来年度末にまとめる。気仙沼湾横断橋維持管理計画策定業務は復建技術コンサルタントが担当。

ドローンなどで点検を行う気仙沼湾横断橋
点検に使用されるドローン

source https://www.decn.co.jp/

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