2017年12月1日金曜日

【回転窓】多重化・分散化の時代

2011年の東日本大震災では、発電設備の被害や福島第1原発事故の影響で電力供給が不足。広範囲にわたる停電や、地域や時間帯を区切っての「計画停電」などがあった。電気が止まって特に困ったのが、オール電化住宅に住む人たちである▼オール電化住宅は各種設備などをすべて電気で賄う先進技術の粋を集めた住宅。火を使わず空気も汚さず、安全でクリーンなイメージがあるが、電気が止まってしまえば、設備は何も動かない▼当たり前のことだが、今の日本では停電などめったに起きないから、大きな災害に見舞われた時などにそうした弱点が突然浮き彫りになる。ハイテクに頼る暮らしの危うい一面といえるだろう▼リスクをできるだけ低減するには、一つのものにすべてを預けるのではなく、多重化や分散化を常に考えておくことが必要だ。住宅に限らずさまざまなことに、これは共通しよう▼ICT(情報通信技術)などの導入が進む建設業界でも最近、技術者の間に「ハイテク機材が突然動かなくなったら…」と不安視する声があると聞く。そんなリスク回避策も考えなければならない難しい時代である。

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