景気が暗転する兆しの一つに不動産の過度な高騰がある。1990年代初めのバブル崩壊は地価の異常な高騰と、不動産融資抑制策への転換による暴落が端緒▼2008年の世界的金融危機「リーマンショック」も、高騰していた住宅価格の急落で、信用力の低い低所得者向け住宅融資「サブプライムローン」の焦げ付きが大量発生したことが引き金。歴史が繰り返されなければよいが、と思うのは、最近の日本の状況だ▼日銀の統計によると、賃貸住宅の建設資金を個人に貸し出すアパートローンが3・7兆円と09年の統計開始以来最高水準になっているという。ミニバブルと評する見方も。アパート建設ブームの背景には相続税対策がある。建物がある方が土地の課税評価額が下がるという15年の税制改正がきっかけだ▼担保がある借り手には銀行も貸しやすい。貸し手と借り手の思惑が一致しているとはいえ、収益性の怪しいアパート建設への貸し付けはないのか、焦げ付く心配はないのか、懸念は消えない▼バブル崩壊、リーマンショックの不況からの脱却に苦しんだ日本経済。3度目を乗り越える余力はあるだろうか。
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