2017年7月14日金曜日

【経営人材の育成めざす】KMユナイテッドが奨学金制度創設、4年勤務で残額返済免除

内装専門工事会社のKMユナイテッド(京都市下京区、竹延幸雄社長)が、将来の経営人材を育成する新たな取り組みを始める。

 幹部候補となる学生を面接で選び、学費の半分を給付、残り半分を貸与する奨学金制度を創設。卒業後に同社に入社して4年働くと、その時点での返済残額を免除する。同社と広域連携する別の地域の専門工事会社に入社した場合も、同様の扱いで支援する方針だ。

 創設したのは「KM(建設みらい)京都奨学金」。京都府内の大学に在籍し、同社のアルバイトとして週7時間程度、年間延べ6カ月以上働くことを条件に奨学金を給付する。

 就職後4年の勤務を経て行われる返済残額の免除は、同社の岡村真史会長(新日本建工社長)が代表理事を務める職人育成塾(高松市)を構成する内装・設備施工の10社に勤務した場合も同様に受けられる。「働く地域を問わない形」(竹延社長)で、建設業界の将来を担う経営人材の確保・育成に役立てる狙いだ。

 卒業後に非正規社員として働きながら奨学金を返済している若者が正社員を希望する場合、同社と職人育成塾各社での試用期間後に正式採用された時点で残る月々の返済金額を別途手当として支給する。府内の中小企業を対象にした京都府の奨学金支援制度の活用も視野に入れる。

 老舗建築塗装会社の竹延(大阪市、竹延幸雄社長)の子会社として13年1月に発足した同社は、専門工事会社の広域連携を目指して6月1日付で岡村氏を会長に招き、新日本建工から増資も受け入れた。防水、熱絶縁、左官といった内装全般に業容を拡大し、国土交通省が推奨する多能工「マルチクラフター」の育成も志向。2年後の上場を目指している。

 活動の一環で、ベテラン職人の技術・技能や安全行動を端末上で確認できるクラウド利用ツールも開発。「技ログ(スキルパッド)」と呼ぶ学びのプラットフォームを通じ、国内外どこでも技能訓練を実践できる機会を提供する。

 奨学金制度を通じて同社は、職人育成の志を共有する専門工事各社とも連携した技ログの事業化を実現する一翼を担いながら、将来の経営も託せる人材を選抜したい考え。選考面接では「しっかりとした夢を持っているかを見定めたい」(竹延社長)としている。同社の取り組みは、建設業界の後継者育成に一石を投じるものになりそうだ。

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