長野市が1998年の長野冬季五輪で使ったボブスレー・リュージュ競技場を来年度から利用しない方針を決めた。施設の老朽化と多額の維持管理費がその理由。人口減少と財政難を背景にした決断である▼2020年東京五輪の施設整備を本格化させている国や東京都にとっても、大会後の施設利用は大きな課題。整備費と維持管理費の縮減に加え、施設利用のしっかりとした見通しを立てることが後世に負担をかけないためにも必要だろう▼東京五輪の組織委員会が選手村の交流エリアとなる「ビレッジプラザ」に使う木材を全国の地方自治体から集め、五輪後に返還して再利用する案を検討している。後利用が計画された木材を大会施設に使うのは五輪史上で初という▼実はこの計画を提案したのは日本建築士会連合会。1年前に三井所清典会長が記者会見で「全国に五輪のレガシー(遺産)を残し、環境問題に取り組む日本の先進性をアピールできる。日本古来の木の文化も世界に伝えられる」と訴えていたのを思い出す▼造るだけでなく、後利用を考えるのも建築士の大事な役割。提案を実現に導く実行力も求めたい。
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