2018年8月29日水曜日

【回転窓】泡盛と仕次(しつ)ぎの伝統

沖縄の特産「泡盛」の歴史は古く、約550年前の琉球王朝時代にはその原型が製造されていたといわれる。他の同じ蒸留酒と比べても先輩にあたると、沖縄の宿で主人に教えてもらったことがある▼この泡盛を積極的に輸出しようと、政府が今年3月に沖縄振興策の一環として行動計画を公表した。2017年の輸出量(推計33キロリットル)を20年に70キロリットルと2倍、22年に100キロリットルと3倍に引き上げるのが目標だ▼泡盛は国内消費量が減少傾向にあり、輸出量も日本酒と大きな開きが見られる。今後は官民が連携して輸出環境を整備するのと同時に、訪日外国人へのPRを進めることなどの方針が示された▼家庭で泡盛のまろやかな風味を長年堪能するため、「仕次(しつ)ぎ」と呼ばれる伝統的な熟成方法がある。年数を経て熟成された泡盛(古酒)の入ったかめに、減った分だけ若い泡盛を少しずつ注ぎ足す。こうやっておいしい泡盛を育て、伝えていくのだという▼輸出量拡大へ課題の一つは、海外での認知度をどう高めるか。泡盛の香りと味わいに加え、長い歴史の中で培われてきた「仕次ぎ」の伝統も広く知ってもらいたい。

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