今月上旬に富山県黒部市へ出張した際、昨年3月に開業した北陸新幹線(長野~金沢間)に初めて乗車した。東京駅から黒部宇奈月温泉駅まで約2時間半の道のり。乗り換えなしで北陸地域にスムーズにアクセスできる。ビジネスや観光など地域経済への波及効果は小さくないだろう▼黒部市内に事業拠点を構えるYKKグループは新幹線開業を機に、本社機能の一部を東京から黒部に移した。国内外から工場などへの訪問客も増加。東京本社とは別に黒部にも広報部門を新設し、情報発信を強化するという▼地方創生の一環で国は、企業の本社機能の地方移転を税制優遇で後押しする。企業にとって機能分散はBCP(事業継続計画)の観点からも重要な経営戦略といえる。一方で、交通の利便性向上によって日帰り出張が当たり前に▼黒部出張も富山の味覚を楽しむことなく、後ろ髪を引かれながら帰路についた。地元では駅周辺の空き地にホテルなどの誘致を進めていたが、これまでに目立った動きはないという▼インフラのストック効果はハードだけでは限定的。街づくりなどソフト面での継続的な仕掛けも求められる。
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