2016年11月30日水曜日

【回転窓】ランナーの目線を生かす

スポーツジャーナリストで元マラソン選手の増田明美さんがかつて、本紙のインタビューで「轍(わだち)」にまつわるエピソードを話してくれたことがある▼現役を引退してまだ間もないころ、駅伝の中継でアナウンサーに「やはり選手は轍があると走りづらいものですか」と聞かれた。実は、その時まで轍の意味を知らず、とっさに「ああ、ワダチさんですか」と答えてしまったのだという。「恥ずかしい思いをしました」と笑顔で記者に教えてくれた▼スポーツ選手が見せる普段の顔まで「詳しすぎる解説」で人気の増田さん。選手が自身のことをつい話してしまうのもそんな飾らない人柄の持ち主だからに違いない▼日本のランニング人口は1000万人に上るとの推計もある。最近は数万人の市民ランナーが参加するマラソン大会も少なくない。大会では普段は車が通る道路を堂々と走れるのもランナーにしか味わえない楽しさであろう▼日本の道路はよく整備され緑も多いが、ランナーが練習できるような道路は「少ない気がします」とも増田さんは語っていた。道づくりや地域の活性化にランナーの目線も生かしていきたい。

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