2016年11月9日水曜日

【回転窓】自由の国の行方

いったいどちらになるのか。米大統領選のことである▼民主党候補のヒラリー・クリントン氏と、共和党候補のドナルド・トランプ氏による接戦が続く。国際協調を重視するクリントン氏に対し、トランプ氏は米国第一主義を掲げる。防衛面での役割分担なども方向性が異なり、日本の行く末にも影響しそうだ▼日本時間の8日夜に米国の各州で投票が始まっており、きょう大勢が判明する見通しだ。各州ごとに割り振られた選挙人の獲得数では、クリントン氏優位という事前の見立てだが、ふたを開けるまで分からないのが選挙▼トランプ氏は、経済的に苦しい白人中間層から多くの支持を集めているという。エリート層や大手メディアへの反発やいら立ちが人気の後ろ楯にもなっているとの見方も。境遇に不満があるからこそ、変化への渇望が助長されていく▼新大統領が誰であれ、抜本的な改善は容易ではなく、こうした風潮は続くのではないか。民意の振れ幅が大きくなればなるほど政治の側も揺れていく。民主主義が持つ柔軟性は長所であり危うさでもある。自由の国がどこへ向かうのか。緊張感を持って注視したい。

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