2017年10月31日火曜日

【全体完成は19年7月、施設休館に注意を!!】有明テニスの森改築・改修、11月から順次着工

オリンピック終了後の施設イメージ
(実施段階環境影響評価書より)
東京都は東京オリンピック・パラリンピックのテニス競技会場となる「有明テニスの森」の施設改修に向けた実施段階環境影響評価書を公表した。既存の公園内に約3000の観客席を備えたテニスコート(ショートコート)、クラブハウス・インドアコートなどを整備。再整備後の施設は有明スタジアム、ショートコート1面、インドアコート8面、屋外コート39面(試合用23面、練習用16面)の構成となる。オリンピック・パラリンピック終了後は仮設施設の撤去やテニスコートの復旧などを行い、現状の49面体制に戻す予定だ。

 新設するショートコートはRC・S造3階建て延べ6040㎡の規模。有明コロシアムの隣接地に建設する。クラブハウス・インドアコートはS・W造2階建て延べ1万0330㎡の規模。現在クラブハウスとテニスコートが建っている場所に整備し、屋内テニスコート8面のほか、事務所や物販店、飲食店が入る。駐車場は現在とほぼ同規模の240台分を確保する。

 工事は①有明テニスの森公園及び有明コロシアム(29)改築及び改修その他工事(関東建設工業・菊池建設・小沢組JV、76億8000万円)②同改築及び改修その他電気設備工事(栗原工業・サンテック・川北電気工業JV、29億2800万円)③同改築及び改修その他空調設備工事(大成設備・川崎設備工業・エバジツJV、18億3392万5000円)④同改築及び改修その他給水衛生設備工事(菱機工業・アペックエンジニアリング・島村工業JV、12億2000万円)⑤有明テニスの森公園(29)施設改修その他工事(エムテック・塚本建設JV、15億5500万円)-の5件で構成。11月中に着工し、2019年7月までの全体完成を目指す。有明コロシアムは同一時期に10カ年維持更新計画に基づき、老朽設備の更新、バリアフリー化、屋根の改修、別棟・デッキ棟の整備を実施する計画だ。

 工事中は着工から10カ月目に工事用車両の通行台数がピークになると予測。近接地に有明アリーナと有明体操競技場が整備されるため、両工事を合わせた周辺道路の車両通行量は有明の森整備の着工後、10カ月目に1日当たり大型車434台、小型車153台、合計587台になると見込む。

 改修工事に合わせ有明テニスの森にある施設は順次休館する。休止予定は有明コロシアムが12月~2019年7月、屋外A・Cコートが11月~2018年9月、芝生広場とクラブハウスが11月~2019年7月。屋外コートは11月~2018年9月にBコート(8面)だけを運用し、クラブハウスは仮設で対応。2018年10月~2019年7月の期間は48面すべてのコートを休止する予定だ。

【施設の建替・廃止方針も明記へ】札幌市スポーツ施設配置・活用計画策定支援業務、日本経済研究所に

札幌市は「札幌市スポーツ施設配置・活用計画策定支援業務」の委託先を日本経済研究所に決めた。同計画の18年度策定に向け、現在市が所有しているスポーツ施設47施設の利用状況や老朽化具合などを調査する。同計画には施設の建て替えや廃止の方針を盛り込む予定だ。

 業務では、施設の建て替えや廃止の判断材料とするため、47施設の維持管理や改修などにかかるコストの比較を行い、建て替えも視野に入れたシミュレーション資料を作成する。将来的な人口減少や人口構造の変化を考慮した施設の需要予測を行い、スポーツ施設の必要総量を算出して配置計画を検討。これらの検討成果を踏まえ、施設配置・活用計画の素案をまとめる。

検討対象となる施設の内訳は、▽体育館12施設▽屋内競技場1施設▽スケートリンク3施設▽カーリング場1施設▽温水プール8施設▽野球場3施設▽庭球場5施設▽その他夏季スポーツ施設(サッカー場など)8施設▽冬季スポーツ関連施設(スキージャンプ競技場など)6施設▽スポーツ交流施設1施設▽藤野野外スポーツ交流施設1施設▽札幌ドーム1施設。このうち、3施設が夏と冬で異なる機能の施設として活用されている。

 18年度に策定する計画では、施設の課題や現状を分析し、今後5年、15年、30年の間に実施する施設整備のスケジュールを示す予定。

【回転窓】ジャパンブルーの東京

トヨタ自動車が先日、22年ぶりとなる新型のタクシー専用車「JPN TAXI(ジャパンタクシー)」を発売した。トヨタは国内のタクシー車両で9割のシェアを握っており、多くの外国人が訪れる2020年東京五輪までに東京のタクシーの3分の1を新型に置き換えたいという▼新型は乗り降りしやすい低床の箱形タイプで、燃費も大幅に改善。加えて大きな特徴となっているのが、海外で「ジャパンブルー」と呼ばれる藍色の車体色である。「東京の景色を一変させる」。発表イベントで豊田章男社長はそう意気込みを語ったと伝えられる▼普段はあまり意識して見ないが、道路を走る車の色は、建物とともに都市の景観を形成する重要な要素の一つといえるだろう。豊田社長の発言もそこを大いに意識したものかもしれない▼自動車塗料メーカーが調べた近年の日本の車の人気上位3色は白、黒、シルバーの順。注意して見ていると、確かに道路にも駐車場にもこの3色の車が圧倒的に多いことに気付く▼車の色には流行もあり、かつてはもっと派手な色がはやったことも。藍色タクシーは街の風景をどう変えるだろう。

【皇居周回コース舞台に78チーム参加】SKOTT駅伝大会、清水建設が悲願の初優勝

 ゼネコン大手5社(清水建設、鹿島、大林組、大成建設、竹中工務店)の有志が秋の皇居を駆け抜ける第39回「SKOTT駅伝大会」(SKOTTは各社の頭文字)が28日、皇居周回コース(1周5キロを3周)で開かれ、清水建設の「エルニーニョSHIMIZU」が51分32秒のタイムで優勝した。

 同社のチームの優勝は初めて。2、3位はいずれも鹿島の「トルネードB」「トルネード鹿島」で、同社チームの10連覇はならなかった。

 大会には各社から計78チームが参加(1チーム3人編成)。桜田門時計台前をスタート・ゴールとする周回コースを1人1周し、計3周15キロのタイムを競った。

 開会式では、幹事を務めた大成建設の瀧上嘉詞郎大会委員長が「けがなく、第三者に気を付けて、安全・快適に走る大会にしてほしい」とあいさつ。続いて午前9時10分に第1走者が一斉にスタートした。

 第1走者は、エルニーニョSHIMIZUの平井幹選手(26)が2位以下に40秒以上の差を付ける圧倒的な走りで次走者にたすきをつないだが、第2走者で連覇を狙うトルネードBが逆転する白熱の展開。互いに譲らぬデッドヒートが続いたが、残り約100メートルの桜田門手前でエルニーニョSHIMIZUが再逆転し、3秒差で初優勝を飾った。

 清水建設チームの代表を務める「清水走ろう会」の塚田和彦会長は「新入社員の時からこの大会に携わって、自分が会長の時に念願がかなってうれしい。幹事会社になる再来年まで勝ち続けたい」と喜びを語った。

 第1走者の平井選手は「序盤から抜け出せて、自分のペースを守ることを心掛けた」、第2走者の柄本大輔選手(23)は「春から優勝を狙っていた。背中が見える位置でたすきをつなげてよかった」、第3走者の松永健太選手は「もつれたら勝てると思っていた。狙い通りの走りができた」と話し、「さらに練習して来年も勝ちたい」と口をそろえた。

 恒例の特別賞は、開催日28賞が「チームわ~いクロヤマ」(清水建設)、オールレディース賞が「レモネード鹿島L」(鹿島)、なが~いチーム名賞が「Team H・A・A(チーム ハーさん)」(大林組)、英語知らないで賞が「英知・王・志」(大成建設)、第39回大会賞が「見積もりもりAチーム」(竹中工務店)に贈られた。
優勝したエルニーニョSHIMIZUの選手と関係者のみなさん

【初弾は沖縄・伊良部島で18年開業】森トラスト、新ホテルブランド「翠」展開

伊良部島(沖縄県宮古島市)に建設している
新ホテルの完成イメージ
森トラストは30日、土地ごとの魅力を最大限生かすことを目指すラグジュアリーホテルブランド「翠 SUI(スイ)」を発表した。初弾として、伊良部島(沖縄県宮古島市)で建設中のラグジュアリーホテルに採用する。同ホテルは18年の開業を目指す。ブランド展開の具体的なスケジュールは未定だが、現在同社が計画しているラグジュアリーホテル10施設のうち「数施設は翠ブランドとする」(伊達美和子森トラスト社長)方針という。

 翠は15年に開業した「翠嵐ラグジュアリーコレクションホテル 京都」のコンセプトを昇華させたブランド。初弾施設の名称は「イラフ SUI ラグジュアリーコレクションホテル沖縄宮古」。マリオット・インターナショナルの最高級ブランド「ラグジュアリーコレクション」を誘致し、二つのブランドを冠したホテルとする。

 建設地は伊良部伊良部長底原818の5ほか(敷地面積9027平方メートル)。伊良部島南部の観光地「渡口の浜」に近接する。ホテルの規模はRC造地下1階地上4階建て延べ約5500平方メートルで、客室は約60室。全室オーシャンビューで、一部客室にはプライベートプールを設けるほか、共用部にはレストラン、ビーチクラブ、フィットネス施設などを備える。

 設計は坂倉建築研究所、施工は建築と昇降機工事を前田建設、空調と衛生設備工事を竹村コーポレーション、電気設備工事をきんでんが担当している。27日に東京都内で記者発表した伊達社長(写真㊨)は「新ブランドを日本各地の魅力を引き出しつつ、世界中の方々に愛されるホテルとして展開する」と意気込みを語った。

 初弾のホテルの施設計画については「地域らしさや土地が持つ良さをいかに引き出すかが建物を設計する上で重要。建物の外観が景観になじむべきだと思っているが、一方で使う人にとっての心地よい空間をどのように表現するか徹底的に考えている」と述べ、建設地の土地の特性を踏まえ「ランドスケープあるいはレイアウトを非常に重視している」と説明した。

【工期は19年12月まで】京都スタジアム新築主体(亀岡市)、竹中工務店JVに

京都スタジアムの完成イメージ
(提供:京都府)
京都府はWTO政府調達協定適用対象の「京都スタジアム(仮称)新築工事(主体工事)」を27日開札し、竹中工務店・公成建設・長村組特定JVを落札者に決めた。総合評価競争入札方式で、同者の入札金額は応札2者中1位の93億円、技術評価点は同1位の109・2点で、評価値は1・174193だった。
京都スタジアム内部の完成イメージ
(提供:京都府)
概要は、RC一部PCaRC造、屋根S造4階建て延べ3万4140平方メートルで、実施設計は東畑建築事務所が担当した。場所は亀岡市追分町。工期は19年12月28日まで(工事開始期限日は18年2月1日)。

 予定価格は93億1500万円、調査基準価格は83億8350万円。その他の参加者は清水建設・金下建設・三煌産業特定JV。

2017年10月30日月曜日

【回転窓】現場で働く女性の「新3K」

「新3K」といえば、給与、休暇、希望と思っていたが、建設に限らず現場で働く女性のそれは、きつさ、気配り、きれいだそうだ。働くことのきつさに目を背けず、女性にしかできないことを生かして現場に従事することが求められているという▼国土交通省が建設産業人材確保・育成推進協議会(人材協)と共催する高校生の作文コンクールで、本年度は国交大臣賞と土地・建設産業局長賞を受賞した5作品すべてが女子高生の作品だった。この中の一つが女性の新3Kをテーマにしていた▼きつい、汚い、危険というマイナスイメージを表す3Kを間違っていないとした上で、建設業の仕事に就いている兄のように現場で働きたいとつづる。確かに季節を問わず屋外作業や力仕事が多い建設業はきついし、汚くもなる。災害復旧など危険と隣り合わせの現場も少なくない▼産業界は担い手確保のため事実を伝えることをためらっていないか。新3Kで建設業を変えたいという女子高生がいる。他の作品には「夢」「継承」「挑戦」といった言葉も目立つ▼彼女らが就職するころには女性が現場にいて当たり前。そうありたい。

【気になる騒音STOP!】前田道路、側溝ぶた向けのゲル緩衝材発売

 前田道路は、側溝ぶたやグレーチングのがたつきを防止する緩衝材「スーパーアジャスター」を開発し、販売を開始した。

 弾性・粘着性に優れたゲル素材で、側溝やふたにしっかりと固定され、現場の形状に追従して密着するため、繰り返し通行する車両などの荷重によるずれが少ない。がたつきによる騒音の防止に効果を発揮する。

 側溝ぶたやグレーチングのがたつきは、従来はゴムやプラスチック製のパッキンをふたと側溝との間に挟み込んで防止していた。しかし、パッキンは車両通行の繰り返し荷重などで短期間でずれたり、外れたりすることが多く、頻繁に点検する必要があった。

 スーパーアジャスターは、素材そのものに粘着性があるため、粘着効果が長期にわたり持続する。製品にごみやほこりが付着して粘着力が低下した場合は、水で洗うと粘着力が回復する。側溝ぶたやグレーチングの裏面などに貼り付けるだけなので、1人でも簡単に作業できる。

 サイズは50×50ミリ、厚さは3ミリ。価格は1箱72枚入りで3600円(送料別)。グループ会社のニチユウ(電話03・5420・1271)が販売する。

【お菓子をくれないといたずらしちゃうぞ!!】三井住友建設、本社近隣のハロウィンパレードでお菓子をプレゼント

三井住友建設は25日、地域貢献活動の一環として、本社(東京都中央区)近隣の中央区立佃児童会館が主催するハロウィンパレードに協力した。

 パレードは、近隣の子どもたちが自分たちで作った衣装や自由な仮装でハロウィンを楽しみ、地域住民と触れ合うことを目的に開催された。

 近隣の小学生や幼児ら130人が参加し、児童館のスタッフや児童館周辺の企業らが飾り付けした教室を回り、「Trick or Treat」と元気にあいさつしてお菓子をもらった。

 同社からは社員7人がハロウィンの仮装をして参加し、子どもたちにお菓子や風船を配った。同社では「今後も地元の方々との交流や地域活動に積極的に参加し、地元の方々と当社との関わりを深めていきたい」としている。

【凜】国土交通省官房技術調査課企画専門官・田中里佳さん

 ◇自分が変わるとできることが増える◇

 外房の澄んだ海が自慢の千葉県勝浦市がふるさと。多くの観光客が海を楽しんでいる一方で、市内は下水道整備率がゼロ。そんな状況に疑問を抱いた。「自分にも何かできることはないだろうか」と大学では環境や衛生を学び、公務員の道に進んだ。

 水環境に関心を寄せていたこともあり、入省後は水管理・国土保全局河川環境課で、にぎわいと活力ある水辺の創出を目指す「ミズベリング・プロジェクト」の担当に。堤防の向こう側は閉じた世界と思われがちだが、「河川と街をさまざまなアプローチでつなげ、水辺を使って生活を豊かにする。もっと水辺の空間を楽しんでほしい」と笑顔を見せる。

 河川の専門家以外の人たちと出会い、これまでとは違うアプローチやデザインに触れたことで、思考の幅や見方が広がった。こうした経験が、国土交通行政の幅広い技術領域を担う官房技術調査課での仕事に生きているという。「自分が変わるのは怖いけれど楽しい。変わると、できること、見えることが増えていく」。

 若手主導の政策立案プロジェクト「政策ベンチャー2030」に参加することを決めた。「世の中の変化と同時に国交省も変わっていく必要がある。今までの延長線ではない政策を打ち出すチャンスだし、国交省が新しいことにチャレンジする姿を見ていただく機会にしたい」と意気込む。

 (たなか・りか)

【建設業の心温まる物語】宮前建設・山口和弘さん(宮崎県)

 ◇最後に素敵な現場をありがとう◇

 宮崎県日南市油津港外港地区防波堤の上部工工事で出会った職人Aさんのお話しです。Aさんの年齢は、私のおじいさんくらいで70歳くらいでした。生コンクリート打設から天端仕上げまでを担当されていました。Aさんの年齢が高いため、私は現場代理人兼監理技術者という立場上、けがなどされないよう普段から気を配っていました。

 ある日のこと、作業開始前にAさんが体調不良を訴え、倒れてしまったのです。私はそのまま病院へ連れていきました。原因は疲れからくる体調不良でした。

 Aさんは1週間後に現場へ帰って来られました。その日は、最終の生コンクリート打設でした。「おかげさまで無事最終コンクリートを打ち終えました」とAさんに現場に戻ってきていただいたお礼を伝えると、次のように話されました。

 「長年建設業で働いてきましたが、最後の現場で、こんな素敵な仕事を手伝わせてもらってありがとうございました。この現場で引退します。たいへんお世話になりました」

 体調不良で倒れた時に引退を決めたとのことでした。

 「ここの現場は遠くからでも見えます。それに景色がとてもいい。最後に多くの人が見る場所で、いつまでも残るものにかかわることができて本当にうれしかった」と言って引退されました。

 Aさんの感謝の言葉はずっと忘れられません。永い間、たくさんのものを作っていただき、ありがとうございました。

【建設業の心温まる物語】アイワ産業・山本嘉彦さん(広島県)

 ◇あんたを待っとったんじゃ◇

 7年前のことです。広島県農林水産事務所の依頼で、広島県呉市音戸町の急傾斜地崩壊対策工事を担当することになりました。

 最初現場を見に行った私は、現場条件の厳しさに唖然としました。音戸町のメイン通りを一つ入った旧道に並ぶ民家の裏山は、長年の風化や、植物、イノシシに荒らされ、崩れ落ちた箇所や今にも崩壊しそうな箇所がたくさんありました。その法面を安全な形に補修し、法枠やアンカーで補強することが私たちの仕事でした。

 しかし民家の裏山は狭くて、大きな重機やダンプカーを持ち込む手段がありません。私は頭を抱えてしまいました。その時、民家の持ち主のAさんが私に声をかけてくださいました。

 「私はあんたを待っとったんじゃ。みんな首を長うして工事が始まるのを待っとった。やれうれしい。なんでも協力するけぇ、裏山を直して安心して住めるようにしてくれんさい」

 その後、Aさんや周辺の町内のみなさんの協力で、仮設道路を整備し、ラフタークレーンの置場を設置して、重機、ダンプカーを持ち込むことができました。その後も、とんとん拍子で話がまとまり、工事を無事終えることができました。

 「もうだめだ」と思った時にかけていただいたAさんの温かい一言のおかげで工事が進みました。ホッと胸をなでおろしたことが今でも忘れられません。

【建設業の心温まる物語】西川塗装店・高橋和宏さん(千葉県)

 ◇ペンキ屋さんの出番です◇

 動物園にいる動物たちは建物の中や、屋外の檻の中に放たれています。この建物の内部や、檻、手すりには外からきれいに見えるように、ペンキが塗られています。ところが以前使われていたペンキには、体に良くない鉛が含まれていました。そんなことを知らない動物のこどもたちは檻や手すりをなめたり噛んだりして遊びます。そのうち、動物の体の中に鉛が入り込んでしまい中毒になって死んでしまう事故が数多く起きていました。とても悲しいことです。

 そこで私たちペンキ屋さんは、動物たちが真近にいる建物や檻の中に入り、まずはそこに塗ってある鉛が含まれたペンキを残らずはがします。その後、動物が食べても問題のないペンキに塗り替えるのです。動物たちは「人間は何をやっているんだろう」と思っていることでしょうね。動物たちが安全に過ごし、そして動物園に遊びに来る人たちが楽しく過ごすことができるようにするために、見えないところでこんな仕事をしているのです。

 塗装という仕事は、見た目をきれいにするだけでなく、鋼材が錆びないようにする役割もあります。さらにはこのように、動物や人の命を守ることもしているのです。工事が終わってしまうと、工事に従事した人々はいなくなってしまいますが、その熱い思いはしっかりと建物の中に残っています。

【サークル】三機工業 親友会スキー部

 ◇初心者からレーサーまで和気あいあい、目標は大会優勝◇

 1971年の秋ごろ、有志10人が集まって発足し、これまで長い伝統を築いてきた。現在は設計・技術や支援部署の社員らが集まり、34人(2017年3月時点)で活動を展開。今では会社公認のクラブとして大会などにも積極的に出場している。

 代表を務めるのは佐古俊晴さん(東京支社空調衛生設計2部担当部長)。「初心者からレーサーまで、上下関係なく、和気あいあいとスキーやスノーボードを楽しむことを活動のモットーに掲げている」と笑顔で話す。

 毎年1~3月に3回の合宿を敢行しているほか、今年の3月に開催された建設業スキー大会(主催・建設業スキー大会事務局、後援・日刊建設工業新聞社)にも出場し、熱戦を繰り広げた。

 今年もシーズン入りが近づいてきた。例年通り年明けから合宿などを計画している。3月には、長野県・高峰高原の「アサマパーク2000」で開かれる第43回建設業スキー大会への出場も予定。優勝を目指す。

 佐古さんは「今後も社内でスキーやスノーボードを愛する人たちの交流の場として活動し続けたい」と熱い思いを込める。

【駆け出しのころ】武山興業専務執行役員・武山利子氏

 ◇内助の功で起業支える◇

 東京都板橋区に生まれ育ち、地元の都立商業高校在学中に、都内の重機会社で修行中の武山徳蔵氏(現武山興業会長)と出会いました。高校卒業後、大手乾物専門店に就職しましたが、結婚のために1年ほどで退職し、地元に戻って起業するという徳蔵氏に連れ添う形で、宮城県北上町(現石巻市北上町)に引っ越してきました。

 移り住んでから1976年に武山興業を創業するまでの約1年間、地元の建築会社の事務職や製造業の従業員を経験し、そこで事務に加えて図面作成や現場の経験をしました。地域住民との間にある「方言」という言葉の壁に戸惑い、地方特有の「地域性」にもなかなかなじめず、苦労しましたが、「絶対にここで一旗揚げてやる」の一心で打ち込みました。

 創業当時は運送業と資材販売業が中心でしたから、経理や事務を担当しました。現在のようなICT(情報通信技術)やデジタル技術が全く普及していない時代ですから、すべてが手作業。毎月3日間ほどは寝ずに仕事をしたこともありました。建設業に携わり、97年から営業職を17年間務めたほか、女性事務員を現場に連れていって安全点検をする「女性パトロール隊」を結成し、90年から20年以上活動してきました。

 東日本大震災が発生した時は、夫と長年暮らしてきた石巻の自宅が大津波により流失してしまい、精神的ショックから動けなくなったことがあります。そんな中、社員たちが精神的に折れずに道路啓開や復旧作業に頑張って取り組む頼もしい姿を見て、うれしく思うと同時に「ピンチはチャンス」ということを教えられました。

 これまでを振り返ると失敗もつらいこともたくさんありましたが、それらを含めた多くの経験が今の社員指導に生かせていると自負しています。

 モットーは「女は愛嬌(あいきょう)」ではなく「女も度胸」です。ひとたび現場に出れば、男女の性差は関係ありません。だから、いつも建設業界の女性社員に向けて「男性と同じぐらい頑張れば、男性と同等の給料がもらえるようになるよ」と言って、叱咤(しった)激励しています。

 経験上の話ですが、3カ月、半年、1年と在籍し続けられる社員は、その後も長く働いてくれる傾向があります。ですから、若い世代には「どの業界の仕事も楽なことばかりじゃない。我慢しなくちゃいけない時がたくさんある」と伝えたいと思っています。

 ただ仕事を続けるだけではなく、どんどん積極的に動いてください。貪欲に食らいついてくる方は、上司から見ても育てがいがあります。もし失敗しても、あまり悩まないようにしましょう。終わったことを気にしても仕方ありませんからね。前進あるのみです。

 (たけやま・としこ)1974年東京都立牛込商業高校卒。乾物卸売会社に勤務後、結婚を機に宮城県北上町(現石巻市北上町)に移り住む。17年6月から現職。宮城建設女性の会2015会長。趣味はゴルフ、ハワイアン・フラ、ポーセラーツなど。東京都板橋区出身、62歳。
現場パトロールから経理まで、何でもこなした

2017年10月27日金曜日

【多摩エリアに新スポーツ拠点!!】武蔵野の森総合スポーツプラザ、11月25日に開業イベント

11月25日に開業を迎える武蔵野の森総合スポーツプラザ
(写真提供:東京都)
東京・多摩エリアのスポーツ拠点として東京都が整備した「武蔵野の森総合スポーツプラザ」が来月開業する。都は開業日の11月25日、オープニングイベントとして午前10時からセレモニーやスペシャルライブ、トークショー、トップアスリートと楽しむスポーツ体験などを企画している。

 スペシャルライブにはアイドルグループ・私立恵比寿中学校が登場。五輪金メダリスト・谷本歩実さんによる柔道体験、小椋久美子さんによるバドミントン体験をなどを開催すると共に、五輪銅メダリスト・立石諒さんによる水泳教室(要事前受付)も予定している。アスリート&アーティストトークショーには私立恵比寿中学校のメンバー、スポーツ体験・教室に参加するアスリートのほか、新体操の畠山愛理さんも登場する。

 武蔵野の森総合スポーツプラザの所在地は調布市飛田給1の1の41ほか。味の素スタジアムと道路をはさんで近接している。SRC一部RC造地下1階地上4階建て延べ2万7603㎡のメインアリーナ棟、同地下1階地上3階建て延べ2万1517㎡のサブアリーナ・プール棟などで構成する。メインアリーナは競技フロア面積が約4900㎡で最大1万人以上の収容が可能。サブアリーナの競技フロアは約1800㎡で、可動畳を敷き詰めれば柔道などの武道大会も開ける。屋内プールは50m×20m・8コース。トレーニングルームや多目的スペースなども備える。

  設計は日本設計が担当。建築工事はメインアリーナ棟を竹中工務店・奥村組・株木建設・白石建設・東起業JVが、サブアリーナ・プール棟を鹿島・東急建設・TSUCHIYA・京急建設JVが施工。設備工事の担当はきんでん・日本リーテック・野里電気工業JVら。東京五輪で近代五種(フェンシング)とバドミントン、パラリンピックでは車いすバスケットボールが実施される予定だ。

 施設の運営管理には指定管理者制度が導入され、東京スタジアム(東京都調布市、田崎輝夫社長)ら5社グループが指定管理者として業務に当たる。

 オープニングイベントの詳細や注意事項は武蔵野の森総合スポーツプラザ特設ホームページまで。

【回転窓】建設業のフェアトレード

途上国で生産される原料や製品を適正な価格で購入する「フェアトレード」。南北の経済格差の解消を目指す運動だ。特に「南」の弱い立場にある生産者や労働者の生活改善と自立を助ける▼チョコレートやコーヒーなどのフェアトレード商品を多少高くても利用する読者もおられよう。建設職人の労働事情に詳しい蟹澤宏剛芝浦工業大教授が、建設業にもフェアトレードの考え方を導入する必要があると訴えている▼身元がしっかりし、社会保険にも加入している技能の高い職人が現場に従事する場合は、多少価格が高くなっても適正施工を約束させて発注する。逆に身元も分からず、社会保険にも未加入の労働者を多く擁する現場は、価格は安くなるが、社会的側面から適正な施工を約束することが難しい。そんな考え方だ▼官民挙げての社会保険加入促進策の結果、建設業の加入率は相当向上した。フェアトレードは、そうした成果を実際の建設生産に生かす試みといえる。働き方改革を前進させる上でも大きな効果がありそうだ▼施主や元請にとっても、社会的責任を果たしていることをアピールする材料になるだろう。

【最大の難所に挑む】リニア南アルプストンネル、本線掘削に向け関連工事進む

南アルプストンネル静岡工区周辺の施工位置図
JR東海が東京・品川~名古屋間の2027年開業を目指して進めるリニア中央新幹線の建設プロジェクトで、最大の難所とされる南アルプストンネル(延長25・0キロ)。大きく3工区に分かれ、既に山梨、長野両工区が着工済みだ。発注手続き中の静岡工区では、大井川の水環境保全対策として整備する導水路トンネル(TBM区間)の施工者を決定。今後は資機材の搬入や発生土の搬出など、本線建設の大動脈となる工事用道路トンネルの建設工事も別途発注される。

 ◇静岡工区、工事用道路は別途発注◇

 南アルプストンネルは山梨・静岡・長野の3県にまたがる標高3000メートル級の山岳地帯を貫いて構築され、本線区間で最長の山岳トンネルとなる。土かぶりが1000メートルを超す区間もあり、長野・静岡県境付近では国内最大規模の1400メートルに達する。

 実験線区間を除いた本線工事の初弾となる山梨工区(延長7・7キロ)が15年12月に着工。大成建設・佐藤工業・錢高組JVが施工を担当し、現在は早川非常口で斜坑から先進坑、広河原非常口で斜坑の掘削をそれぞれ進めている。年度内には本坑の掘削に入る予定だ。

 16年11月に着工した長野工区(同8・4キロ)では非常口3カ所のうち、除山、小渋川の両非常口で斜坑の掘削やヤード整備が進む。施工は鹿島・飛島建設・フジタJVが担当。国内最大規模の土かぶり区間が含まれる。

 同工区の周辺では本線建設に伴うアクセス道路整備の一環で、主要地方道松川インター大鹿線道路トンネルの新設工事を2工区で実施中。西下工区(施工=熊谷組・神稲建設JV)で建設中の「(仮称)新西下トンネル」(延長0・9キロ)は2日に貫通した。現在は覆工や舗装、設備工などを進めており、18年冬までの完工を予定している。

山梨工区での先進坑掘削作業(ⓒ JR東海)
四徳工区(施工=戸田建設・吉川建設JV)の「(仮称)新四徳渡トンネル」(延長1・2キロ)では2日時点で約1キロの掘削が完了。年内の貫通、18年度内の完工を目指している。

 本線部の静岡工区(同8・9キロ)周辺では、大井川流域の水環境保全対策の一環で整備する導水路トンネル(同11・5キロ)の関連工事のうち、TBM区間(同9・3キロ)の施工者を大成建設・佐藤工業・大豊建設JVに決めた。導水路のNATM区間(同2・2キロ)を含む静岡工区の発注手続きを現在進めている。

 未発注の工事用道路トンネル(延長約4キロ、標準断面積約50平方メートル)は、西俣と千石の両非常口付近に坑口を設けてNATMで施工する。燕沢付近の発生土置き場を中心に運搬可能なルートとし、保全対象施設や主要な眺望地点、自然との触れ合い活動の場である二軒小屋付近を通過する工事車両台数の低減など、周辺環境への負荷抑制を図る。

長野工区の除山非常口周辺で進むヤード整備(ⓒ JR東海)
同トンネルの工期(測量・用地協議含む)は3年を想定しており、周辺工事の進ちょく状況を踏まえて発注手続きを進める。

【構造物に誇りを刻む】関東整備局、土木インフラに技術者の銘板設置へ

国土交通省関東地方整備局は、建設業の担い手確保策などとして、完成した工事に従事した技術者の氏名などを記載した銘板を設置する取り組みを開始する。

 「技術者顕彰銘板試行基準」を策定し、技術者の誇りにつながるような銘板を構造物などに設置していく。国交省は、官庁営繕工事で銘板の設置を始めているが、地方整備局単位での取り組みは全国初となる。

 建設業の働き方改革推進に向けた施策を総合化した「“地域インフラ”サポートプラン関東2017」に盛り込んだ。対象とする事業を選定し、その工事の受注者が銘板を設置できるようにする。工事ごとに設置するか、プロジェクト単位で設置するかなど詳細はこれから詰める。記載する技術者の範囲なども検討課題となる。

 土木インフラでは、品質管理の観点から施工企業名などを銘板に記載しているほか、ダムなど大規模プロジェクトで工事に携わった技術者の氏名を載せた銘板を設置するケースがあるが、幅広く体系的に実施するには至っていない。

 技術者のやりがいや誇りにつながるほか、技術者の責任が明確化され、建設業への信頼が高まるといった効果も期待できる。群馬県建設業協会や茨城県建設業協会が銘板設置を要望していた。

【積女ASSALだより】安藤ハザマ・平間えり子さん

 ◇技術を身に付ける場に◇

 現在、建設会社で構造積算を担当しています。数量拾い以外にも、施工方法や材料納期などについて工事業者と打ち合わせをしたり、足場や山留めの計画をしたりもします。

 入社当初は建築の知識が無く、図面も全く読めませんでしたが、拾いを繰り返していくうちに建物の要点をつかむ力が付いていったように感じます。施工のことは、社内はもとより工事業者の方々に直接教えてもらい、2年目には構造積算担当者として、物件を任せてもらえるようになっていました。

 6年目の今は仕上積算に挑戦中で、まだまだ学ぶことが尽きません。

 建築に興味がある、技術を身に付けたいと思っている皆さん、是非一度、積女ASSALの集いに参加してみてください。

 (ひらま・えりこ)

 次回はNTTファシリティーズの上田幸奈さんを紹介します。

【公開審査は11月11日】ERI学生デザインコンペ、8作品が最終選考進出

 ERI学生デザインコンペ2017(主催・ERIホールディングス、特別協賛・日刊建設工業新聞社)の最終選考進出作品が決まった。

 12日に東京都内で第1次選考会が開かれ、8点が選ばれた。最終選考は11月11日午後2時から、東京都品川区の東京デザインセンターで行い、プレゼンテーションと質疑応答により最優秀賞など各賞が決定する。選考は一般に公開される。

 17年度は、「ルール/スペース/ハーモナイズ」をテーマに全国の大学から作品を募った。1次選考を通過したのは(敬称略)、▽山元隆志、浜本雄也、早坂覚啓(明治大大学院)▽両川厚輝(東京大)▽恵添添(工学院大大学院)▽青山倫大、馬場隆介(千葉大大学院)▽小川恭平、花立夏穂(芝浦工業大)▽牧田涼、時田海斗、安井勇吾(法政大大学院)▽中田寛人、竹中敦哉(横浜国立大大学院)▽石田康平(東京大)。

 選考委員は今村雅樹、木下庸子、谷尻誠、千葉学、平田晃久、安原幹、中澤芳樹(ERIホールディングス)の7氏が務める。1次選考通過作品や最終選考会の詳細はホームページで公開している。

2017年10月26日木曜日

【東京モーターショー、28日から一般公開】国交省、ETC2・0のPRに注力

 自動車の祭典、第45回東京モーターショー2017(主催・日本自動車工業会)の28日からの一般公開を前に、25日、会場が報道陣に公開された。

 2年に一度開かれるこのイベント。国内外の自動車や、その関連メーカーの最新モデルや技術が紹介される。
 
 報道公開では各自動車メーカーのコンセプトカーが披露された。AI(人工知能)やより高い環境性能を盛り込んだ次世代の自動車がVR(バーチャル・リアルティ)などを使って紹介されている。より便利で、より安全な自動車社会が到来しそうだ。

 国土交通省も、道路を賢く使うための基本インフラとなる新バージョンのノンストップ料金収受システム「ETC2・0」の普及PRに力を入れる。搭載車には渋滞道路の迂回誘導や、災害時・道路異常情報の提供、車両の運行管理などが可能。給油のためにいったん高速道路を途中下車しても通行料金が高くならない仕組みももっている。

 高速道路の途中下車に関しては現在、全国3カ所のETC専用IC(インターチェンジ)で社会実験中。同省道路局交通管理課ITS推進室によれば、本年度中に実験ICを20カ所近くに増やすことも検討している。現時点では、「1時間以内で戻らなければならず、短い」という意見が多い以外は利用者に概ね好評という。

 東京モーターショー出展ブースでも、社会実験での効果をPRしながら、ETC2・0の普及を狙う。ETC2・0が普及すると、メリットを享受する高速道路会社として、首都高速道路会社が今回初出展した。自動車に関心の高い来場者が集まる東京モーターショーでのPRに一層力が入っている。

東京モーターショー2017の一般公開は28日~11月5日。

【回転窓】祈りは心の食事

町歩きイベントで、東京都渋谷区にあるイスラム教のモスク「東京ジャーミイ」を訪れた。ジャーミイとは、アラビア語で「人の集まる場所」。決まった時刻になると、礼拝が呼び掛けられ、聖地メッカに向かって祈りをささげる。神の前では人は平等。人種も地位も関係なく横に並ぶ▼驚いたのは、子どもたちの振る舞い。祈りの時間になっても施設内を走り回って遊んでいる。時折、大きな声を出すことも。だが大人たちは注意しない▼子どもには礼拝を強制しないという。幼い頃、寺で住職がお経を上げている時に皆で騒ぎ、一喝された記憶がある。それに比べるとおおらかで自由な雰囲気。成長すれば自然と礼拝をするようになるので、それを待つという考え方らしい▼このモスクが整備されたきっかけは100年前のロシア革命。中央アジアのイスラム教徒が迫害されて世界各地に移住。たどり着いた先の一つが日本だった▼「祈りは、心に対する食事のようなもの」とは説明役の方の話。人によって方法はさまざまだろうが、心への栄養補給は欠かせない。異文化を寛容に受け入れた素地をこれからも大事にしたい。

【機能とデザインに女性の声】タツミプランニング、女性用現場監督ユニホーム導入

 横浜市を中心に年間500棟の注文住宅を手掛けるタツミプランニング(横浜市西区、米山茂社長)は、ファッションブランドを手掛けるアンティローザ(東京都品川区、藤田祐嗣社長)と協業し、機能的でスタイリッシュな女性用現場監督ユニホームを導入した。

 ユニホームは、現場監督として働く女性社員の意見を取り入れながら機能面とデザイン面とを両立させた。

 機能面では、背中の素材をメッシュにして通気性を確保。パンツには、現場で動きやすいようストレッチ素材を使用した。デザイン面では、腰や尻回りが気にならないように後ろの裾を長めにしているのが特徴。ワンポイントとして女性らしいピンク色のファスナーを採用した。

 米山社長は「女性社員が作業着を気に入り、街を歩いていても恥ずかしくなく仕事に集中できるデザインにした」と話している。

【夢のある力作揃いです】土木学会「未来の土木コンテスト」、優秀賞と入選で8作品決まる

 土木学会(大石久和会長)は、小学生から未来の街のアイデアを募る「未来の土木コンテスト」の1次選考を行い、優秀賞5作品と入選3作品を決定した。

 今後、1次選考を通過した8作品の提案者に土木技術者によるチームが加わり、実現に向けた技術的な検討を実施。来年1月20日に東京・お台場の日本科学未来館でプレゼンテーションを行い、最優秀賞を決定して表彰式を行う。優秀賞と入選の作品は次の通り。

【優 秀 賞】

 

秋山隆蔵さん(埼玉県)「人の心に寄りそう土木の街」


遠藤萌花さん(福島県)「遊びと笑顔で発電公園」


島児明留さん(東京都)「うちゅうにうかぶしぜん」


田中楓里さん(愛知県)「道路のなくなった町」

安江竣さん(東京都)「雷電池を使った未来の町」

【入 選】

 

梶田ひかりさん(神奈川県)「宇宙と深海をつなぐエレベーター」


小山和緒さん(埼玉県)「おいしい作物が食べられる農業電車」


橋本奈津美さん(東京都)「空中公園」

【ええもん(技術)使こて、ええモン創ろ!】建設技術展2017近畿が開幕

 日刊建設工業新聞社と近畿建設協会が主催する「建設技術展2017近畿」(特別共催・土木学会関西支部)が25日、大阪市中央区のマイドームおおさかで始まった。173の企業・団体が出展し、500に及ぶ先進技術などを紹介する。26日まで。

 開会式では、主催者と特別共催者、出展者代表、来賓によるあいさつに続き、近畿地方整備局の井上智夫企画部長が開会を宣言。主催者・共催者の代表がテープカットを行い、技術の祭典が華やかに開幕した。

 25日は橋梁模型製作コンテストの会場製作や関西ライフライン研究会の地震防災フォーラム、西日本高速道路会社とNPO法人あすの夢土木によるシンポジウムなどが行われた。

 26日は橋梁模型製作コンテストの載荷試験をはじめ、建設コンサルタンツ協会近畿支部と「関西のインフラ強化を進める会」による関西未来づくりシンポジウムや、土木学会関西支部の学生キャリア支援など多彩なイベントが繰り広げられる。

【石原さとみさんと一緒に出発進行!!】東京メトロ、27日から地下鉄開通90周年記念イベント

東洋初の地下鉄が上野~浅草間に開通して12月30日で90周年を迎えることを記念し、東京メトロは感謝祭「TOKYO METRO 90 Days FES!」を開催する。

 期間は27日から18年1月24日までの90日間。地下鉄開通90年の歴史を振り返り、地下鉄を通して現在の東京の魅力や東京メトロの最新の取り組みを体感できる機会などさまざまなイベントを随時開催する。

 25日に都内で行われた感謝祭の発表会には山村明義社長や同社のCMキャラクターを務める女優の石原さとみさんらが出席。山村社長は「1927年12月30日に銀座線の一部が開通し、日本の地下鉄のネットワークの歴史が始まった。記念行事では90年前の開通からのDNAを引き継ぐ東京メトロならではの取り組みを、感謝の気持ちを込めてお届けする」とあいさつした。

 社員へのアンケートを基に東京の魅力あふれる90スポットを紹介するスタンプラリーや、同社施設の公開イベントなど現時点で決まっているイベントの概要が発表された。石原さんは「学べて、体験できて、楽しめるイベントが用意され、東京五輪に向けてもいいアピールになる」と話した。

2017年10月25日水曜日

【選手と区民の交流も】世田谷区立運動場、東京五輪米国選手団のキャンプ地に

2020年東京五輪で米国の選手団が東京・世田谷区の運動場を事前キャンプや大会期間中の練習場として使うことが決まり、23日に区と米五輪委員会による契約締結式が行われた。

 東京五輪のキャンプ場として正式に契約を結ぶのは都内では初。締結式には、保坂展人区長やアラン・アシュレイ米五輪委団長などが出席し、契約確認書に署名した。区と交流協定を結んでいる群馬川場村も練習施設を提供することになり、外山京太郎村長も共に署名を行った。契約締結日は9月30日。

 米国選手団は、区立大蔵運動場(大蔵4の6の1)の体育館、野球場、陸上競技場、温水プールなどや、大蔵第二運動場(同4の7の1)の体育館、テニスコート、トレーニングルームなどをそれぞれ使用する。使用期間は五輪選手団が20年7月4~8月15日、パラリンピック選手団が同8月19~24日。具体的なキャンプ実施競技の選定については、今後調整する。区は、選手団の受け入れと五輪後の区民の利活用に向けて大蔵運動場の改修を進めている。

 区は東京五輪での米国のホストタウン登録をしており、大会期間中は選手と区民の交流や応援を通じ、スポーツ・文化の両面で国際交流に取り組む。24日の定例記者会見で保坂区長は「五輪を機にスポーツはもちろん日米のさまざまな交流を深めていきたい」と語った。

【回転窓】「ドレス効果」にご注意

ハンドルを握ると、人が変わる-。よく聞く話ではある。車の運転を巡るトラブルが連日のように報道されている▼高速道路で進路妨害をして追い越し車線に車を止めさせ、そこへトラックが突っ込んで2人が死亡。追い越されたことに腹を立て、相手を追い回した上に鉄パイプで車を破壊。交通トラブルが元で路上でけんか中にひかれて大けが…▼最初のケースは、休憩所で車の止め方を注意されて「カチンと来た」のが原因という。たかだか「カチン」で2人が命を落とした。その結果責任は誠に重大といわねばならない▼警察庁が先週、前を走る車をあおるなど、道交法の車間距離保持義務違反の摘発件数が昨年1年間で7625件に上ったと発表した。高速道路上での違反が9割近くを占めるというから危険極まりない▼車を運転中に性格が粗暴になる一因に「ドレス効果」と呼ぶ心理状態があるといわれる。消防士や警察官が制服を着ると勇敢になるのと同じ。車の強さ・速さ・大きさを無意識のうちに自分と重ね合わせ、闘争心や競争心が高じる。人間とは何とも単純な動物。運転席ではそこをくれぐれも忘れぬよう。

【6000席の多機能アリーナなど整備へ】佐賀県総合運動場基本設計CM業務、山下PMCに

佐賀県は、「佐賀県総合運動場等整備基本設計等に係るコンストラクション・マネジメント業務委託」の公募型プロポーザルで受託候補者に山下ピー・エム・コンサルタンツ(山下PMC)を選定した。11月上旬に随意契約を結び業務委託する。

 総合運動場等整備事業は23年の国体・全国障害者スポーツ大会に対応するために計画。複数年にわたりさまざまな工事が重複し複雑な工程となることからコンストラクション・マネジメント(CM)業務を委託し、技術的・専門的な支援を受ける。

 本年度の業務内容は基本計画の精査、基本設計者の選定支援、実施設計や工事の発注方式の検討・決定支援、マスタースケジュールの作成、基本設計スケジュールの管理など。履行期限は18年3月30日。事業場所は佐賀市日の出の総合運動場エリア約24ヘクタール、総合体育館エリア約3・4ヘクタール。22年度の工事完了を予定。

 基本計画によるとバスケットボールコート3面規模のメインアリーナや6000席以上の観客席を備えた多機能アリーナ、カフェやレストランなどが入居するテナント棟を新設。総合運動場陸上競技場は第1種基準を満たすための雨天練習場整備や改修を行い、水泳場は屋外50メートルプールを屋内プールに改修する。テニスコートの整備・改修なども行う。各施設間にはペデストリアンデッキを設ける。

【都心部での保育所整備を側面支援】国交省、建基法告示の採光規定緩和へ

国土交通省は都市部に多い保育施設に入れない待機児童(16年4月時点約2・4万人)の解消対策を、施設整備の規制緩和で側面支援する。

 建築基準法の告示で定める採光規定を緩和。都市部の住居系地域にある既設の業務ビルや住宅で、用途変更によって保育施設を整備しやすくする。保育室を対象に、照明設備を設置すれば窓などの開口部の必要採光面積が緩和される特例措置をさらに緩める。

 告示案で定める採光規定の緩和措置は、▽保育室の実態に応じた採光の緩和措置合理化▽土地利用の現況に応じた採光補正係数の選択制導入▽一体利用される複数居室の有効採光面積の計算方法弾力化-の3項目。

 このうち、保育室の実態に応じた採光の緩和措置の合理化では、照明設備(照度200ルクス以上)を設置すれば、確保すべき開口部の採光有効面積が床面積の「5分の1以上」から「7分の1以上」へと緩和される現行の特例措置をさらに緩める。

 子どもや保育士などが床に座っている時間が長い保育の実態に合わせ、開口部の採光有効面積の計算対象部分を開口部全体へと広げる。現在は計算対象に標準的な勉強机の高さと同じ床面からの高さ50センチ未満の部分が入っておらず、実質的に子どもの体よりも高い部分だけになっている。

 土地利用の現況に応じた採光補正係数の選択制導入では、郊外と比べ隣地境界線との距離を確保しにくく、採光上有効な開口部を確保するのが難しい都市部の住居系地域の実態に対応。開口部の採光有効面積を計算する際に使う採光補正係数について、新たに特定行政庁が土地利用の現況に応じて指定した係数を選択できるようにする。現在は土地利用の現況に関係なく用途地域の区分に応じて一律に設定された係数を使う規定になっている。

 一体利用される複数居室の有効採光面積の計算方法弾力化では、保育年齢に合わせて間仕切りされるケースが多い保育施設の実態に対応。現在は居室ごとに採光上有効な開口部が一定規模以上必要になるが、一体的に利用する複数の居室を一つの居室とみなせるように採光規定を緩和する。間仕切り壁の設置位置の自由度を高める。告示は来年1月までに施行する。

2017年10月24日火曜日

【回転窓】言論人の覚悟

政治評論家の森田実氏がかつて本紙のインタビューで語っている。〈公共事業が無駄だという人がいるのであれば、是非言ってきてもらいたい。…いつでも受けて立つ覚悟がある〉(04年7月12日付)▼公共事業バッシングの風が吹き荒れる中、森田氏は04年6月に『公共事業必要論』(日本評論社)を出版。公共事業への否定的な捉え方に真っ向から反論した▼09年7月に本紙でスタートした寄稿連載「建設放談」でも主張がぶれることはなかった。その論説に勇気付けられた読者も少なくないだろう。連載は8年間で390回を超え、きょう最終回を迎えた(12面)▼〈コンクリートが人間社会のために役立っているという事実を否定してはならない〉(09年10月27日付)、〈「自らの身を殺して仁を成す」建設業者が社会の安定を支えている〉(14年12月9日付)。胸に響く言葉を挙げれば切りがない▼衆院選で自公の与党が勝った。〈総選挙が終わったら直ちに補正予算を編成し、…直ちに実行すること…〉〈まず景気回復の実現に全力を挙げるべき〉(17年9月26日付)。森田氏の言葉を借りるまでもなく、切に願う。