2017年10月12日木曜日

【回転窓】独立を叫ぶ民意

旅した外国で最も居心地が良かったのはスペイン・バルセロナ。他国の旅行者とサッカーを観戦したり、ガウディやダリの作品を見て回ったりと充実した毎日だった▼そのバルセロナを抱えるカタルーニャ地方が独立問題で揺れている。1日の住民投票では独立賛成が多数を占めた。とはいえ、投票数は有権者数の半分に満たず、独立反対の大規模デモも起きている。イラク北部でも、クルド自治政府による独立を問う住民投票が波紋を呼んでいる▼国家は、基本的に存続や拡大を前提に制度を構築しており、独立を促す立場にはない。だが、将来にわたり現状を維持できるとも言い切れない。独立の強行も逆に独立を求める声を無視することも、どちらも正解ではないように思う▼他者が望む政策と自分の考えとが大きくかい離していても、ともに民意。是か非かの二者択一に落とし込むと分断を生み、なかなか抜け出せない。そこに民主主義の落とし穴がある▼かの地のような騒動は日本では起きないだろうか。今の姿が望ましければ、なおのこと意見が異なる者同士の歩み寄りが必要だ。選挙の季節だからこそ、そう思う。

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