2017年10月27日金曜日

【最大の難所に挑む】リニア南アルプストンネル、本線掘削に向け関連工事進む

南アルプストンネル静岡工区周辺の施工位置図
JR東海が東京・品川~名古屋間の2027年開業を目指して進めるリニア中央新幹線の建設プロジェクトで、最大の難所とされる南アルプストンネル(延長25・0キロ)。大きく3工区に分かれ、既に山梨、長野両工区が着工済みだ。発注手続き中の静岡工区では、大井川の水環境保全対策として整備する導水路トンネル(TBM区間)の施工者を決定。今後は資機材の搬入や発生土の搬出など、本線建設の大動脈となる工事用道路トンネルの建設工事も別途発注される。

 ◇静岡工区、工事用道路は別途発注◇

 南アルプストンネルは山梨・静岡・長野の3県にまたがる標高3000メートル級の山岳地帯を貫いて構築され、本線区間で最長の山岳トンネルとなる。土かぶりが1000メートルを超す区間もあり、長野・静岡県境付近では国内最大規模の1400メートルに達する。

 実験線区間を除いた本線工事の初弾となる山梨工区(延長7・7キロ)が15年12月に着工。大成建設・佐藤工業・錢高組JVが施工を担当し、現在は早川非常口で斜坑から先進坑、広河原非常口で斜坑の掘削をそれぞれ進めている。年度内には本坑の掘削に入る予定だ。

 16年11月に着工した長野工区(同8・4キロ)では非常口3カ所のうち、除山、小渋川の両非常口で斜坑の掘削やヤード整備が進む。施工は鹿島・飛島建設・フジタJVが担当。国内最大規模の土かぶり区間が含まれる。

 同工区の周辺では本線建設に伴うアクセス道路整備の一環で、主要地方道松川インター大鹿線道路トンネルの新設工事を2工区で実施中。西下工区(施工=熊谷組・神稲建設JV)で建設中の「(仮称)新西下トンネル」(延長0・9キロ)は2日に貫通した。現在は覆工や舗装、設備工などを進めており、18年冬までの完工を予定している。

山梨工区での先進坑掘削作業(ⓒ JR東海)
四徳工区(施工=戸田建設・吉川建設JV)の「(仮称)新四徳渡トンネル」(延長1・2キロ)では2日時点で約1キロの掘削が完了。年内の貫通、18年度内の完工を目指している。

 本線部の静岡工区(同8・9キロ)周辺では、大井川流域の水環境保全対策の一環で整備する導水路トンネル(同11・5キロ)の関連工事のうち、TBM区間(同9・3キロ)の施工者を大成建設・佐藤工業・大豊建設JVに決めた。導水路のNATM区間(同2・2キロ)を含む静岡工区の発注手続きを現在進めている。

 未発注の工事用道路トンネル(延長約4キロ、標準断面積約50平方メートル)は、西俣と千石の両非常口付近に坑口を設けてNATMで施工する。燕沢付近の発生土置き場を中心に運搬可能なルートとし、保全対象施設や主要な眺望地点、自然との触れ合い活動の場である二軒小屋付近を通過する工事車両台数の低減など、周辺環境への負荷抑制を図る。

長野工区の除山非常口周辺で進むヤード整備(ⓒ JR東海)
同トンネルの工期(測量・用地協議含む)は3年を想定しており、周辺工事の進ちょく状況を踏まえて発注手続きを進める。

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