建設技能の講師を対象にした「技能者育成講師養成講座」が9月28、29日の2日間、兵庫県三田市の三田建設技能研修センターで行われた。
未経験者や入職したての若者が意欲を持って技能を習得できるかどうかは、講師の教え方一つでも大きな差が出る。各職種で高い技能を持ちながら、教え方にもたけた講師の養成が、人材育成の裾野を広げることにもつながると期待される。
建設産業担い手確保・育成コンソーシアム(事務局=建設業振興基金)が支援する地域連携ネットワークの一つである兵庫県建設業協会は16年度、講師養成を目的とした教育訓練カリキュラムを開発した。
コンソーシアムは今回、三田建設技能研修センターに委託する形で養成講座を実施。その結果をカリキュラムのブラッシュアップに反映させ、各地で技能教育を行う講師の養成に役立てていきたい考えだ。
養成講座の講師は、カリキュラム開発に協力したハタコンサルタント(名古屋市)の降籏達生代表取締役が担当。これまで5万人を超す技術者に研修を行った実績を持つ降籏氏が、講師としての心構えからテキストの作成方法、ホワイトボードの使い方、声の出し方に至るまでさまざまなノウハウを伝授した。
降籏氏は、「技術者とは異なり、技能者の育成は経験に基づく指導が圧倒的に多く、いかに適切な動作を身に付けさせるかが重要なポイントになる」と指摘。教わる側の能力も個人差が大きく、技能習得が遅れがちな人にどう声を掛けるかも重要だという。
養成講座には、沖縄産業開発青年協会で未就業者向けの講師を担う鉄筋、型枠、足場のベテラン職人や三田の講師が参加。沖縄で足場講習を担当する山城順一氏は「講師を始めてまだ半年。どうやって教えたらよいかを知る良いきっかけになると思い参加した。学んだ成果を今後の指導に生かしたい」と話した。鉄筋の荷川取和也氏も「めりはりを利かせた話し方など参考になる点が多かった」という。
養成講座は来年1月にも開く予定だ。訓練施設の講師だけでなく、現場のOJT指導役にも参加を呼び掛けるという。カリキュラムでは、経験や能力に応じた講師認定基準(1~3級)の設定も想定。今後、養成講座を定着させる中で具体化を目指すとしている。
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