2017年10月27日金曜日

【回転窓】建設業のフェアトレード

途上国で生産される原料や製品を適正な価格で購入する「フェアトレード」。南北の経済格差の解消を目指す運動だ。特に「南」の弱い立場にある生産者や労働者の生活改善と自立を助ける▼チョコレートやコーヒーなどのフェアトレード商品を多少高くても利用する読者もおられよう。建設職人の労働事情に詳しい蟹澤宏剛芝浦工業大教授が、建設業にもフェアトレードの考え方を導入する必要があると訴えている▼身元がしっかりし、社会保険にも加入している技能の高い職人が現場に従事する場合は、多少価格が高くなっても適正施工を約束させて発注する。逆に身元も分からず、社会保険にも未加入の労働者を多く擁する現場は、価格は安くなるが、社会的側面から適正な施工を約束することが難しい。そんな考え方だ▼官民挙げての社会保険加入促進策の結果、建設業の加入率は相当向上した。フェアトレードは、そうした成果を実際の建設生産に生かす試みといえる。働き方改革を前進させる上でも大きな効果がありそうだ▼施主や元請にとっても、社会的責任を果たしていることをアピールする材料になるだろう。

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