国土交通省は都市部に多い保育施設に入れない待機児童(16年4月時点約2・4万人)の解消対策を、施設整備の規制緩和で側面支援する。
建築基準法の告示で定める採光規定を緩和。都市部の住居系地域にある既設の業務ビルや住宅で、用途変更によって保育施設を整備しやすくする。保育室を対象に、照明設備を設置すれば窓などの開口部の必要採光面積が緩和される特例措置をさらに緩める。
告示案で定める採光規定の緩和措置は、▽保育室の実態に応じた採光の緩和措置合理化▽土地利用の現況に応じた採光補正係数の選択制導入▽一体利用される複数居室の有効採光面積の計算方法弾力化-の3項目。
このうち、保育室の実態に応じた採光の緩和措置の合理化では、照明設備(照度200ルクス以上)を設置すれば、確保すべき開口部の採光有効面積が床面積の「5分の1以上」から「7分の1以上」へと緩和される現行の特例措置をさらに緩める。
子どもや保育士などが床に座っている時間が長い保育の実態に合わせ、開口部の採光有効面積の計算対象部分を開口部全体へと広げる。現在は計算対象に標準的な勉強机の高さと同じ床面からの高さ50センチ未満の部分が入っておらず、実質的に子どもの体よりも高い部分だけになっている。
土地利用の現況に応じた採光補正係数の選択制導入では、郊外と比べ隣地境界線との距離を確保しにくく、採光上有効な開口部を確保するのが難しい都市部の住居系地域の実態に対応。開口部の採光有効面積を計算する際に使う採光補正係数について、新たに特定行政庁が土地利用の現況に応じて指定した係数を選択できるようにする。現在は土地利用の現況に関係なく用途地域の区分に応じて一律に設定された係数を使う規定になっている。
一体利用される複数居室の有効採光面積の計算方法弾力化では、保育年齢に合わせて間仕切りされるケースが多い保育施設の実態に対応。現在は居室ごとに採光上有効な開口部が一定規模以上必要になるが、一体的に利用する複数の居室を一つの居室とみなせるように採光規定を緩和する。間仕切り壁の設置位置の自由度を高める。告示は来年1月までに施行する。
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