2015年11月2日月曜日

【回転窓】せせらぎ音に耳を傾ける


 川のせせらぎ音は心地良い。先日、金沢市を訪れた際、犀川のほとりを歩きながら、川音にも微妙な違いがあることに気が付いた▼表現しづらいが、さらさらと穏やかな川音もあれば、段差の所で滝のように激しい音を立てる川音も。コンクリートの川床に直径20センチほどの石を埋め込んで人工的に作られた流水音もある。急峻な地形が特徴の国土の中で育った日本人にとって、川のせせらぎ音は身近で、郷愁を誘われる▼犀川のほとりで育った室生犀星は、抒情小曲集で〈うつくしき川は流れたり そのほとりに我は住みぬ〉と詠った。作家として成功して都会に住む犀星も、川辺の風景に思いを寄せながらせせらぎ音を思い出していたに違いない▼石川県が地方創生の県版総合戦略を発表した。県内の観光客数を14年の2161万人から19年には2750万人に増やすという。北陸新幹線開業で伸びた観光客数を一過性に終わらせず、外国人観光客を中心にさらに呼び込むという▼金沢市内には兼六園など多くの観光スポットがある。歴史的街並みも楽しいが、川や用水路のせせらぎ音に耳を澄ますのもよいのでは。

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