2016年11月8日火曜日

【総工費は290億円】銀座線リニューアル、渋谷駅移設工事が本格化

 東京メトロが進める銀座線全駅舎の大規模リニューアル事業で、最大規模とされる渋谷駅の移設工事が本格化している。

 5、6両日に一部区間を運休し、線路の切り替え工事を実施。複数の大型クレーンで軌道部を支える仮設桁を設置して段階的に線路を切り回しながら、島式ホームの新駅舎を構築するための空間を確保する。

 総工費約290億円を投じて19年度の新ホームの供用開始を目指す。

 東洋初の地下鉄として1927年に開通した銀座線のリニューアル事業は、渋谷駅の移設工事のほか、他駅舎の改修やホームドアの設置、車両の更新などを含めて総額約1000億円を投じるビッグプロジェクト。

 駅舎を改築する渋谷駅周辺では、東京急行電鉄、JR東日本らと共同で複合ビル群を整備する再開発事業を一体的に推進中。東京メトロの奥義光社長は「銀座線をリニューアルし、新しい渋谷のシンボルとともに(新駅舎を)開業していきたい」と意気込む。

新駅・ホームの完成イメージ(断面図)

 渋谷駅の新駅舎・ホームは現駅舎から表参道駅寄りに約130メートル動かす。JR線と「渋谷ヒカリエ」の間に位置する明治通りの上(P4~5橋脚付近)に整備する。

 ホームは現在の乗車用・降車用に分かれた相対式から、二つの線路に挟まれた島式に構造を変更。同一階の乗り換えコンコースに直結する西口改札や、新設するエレベーター・エスカレーターでヒカリエと直結する東口改札などにより、JR線や地下の副都心線などへの乗り換えを容易にする。これまで乗・降車で分かれていた改札口が同じになり、利便性も高まる。

 渋谷駅の移設に伴い、東口広場から明治通り付近の橋脚7基を3基に減らし、高架下の空間を拡充。駅前の混雑緩和や道路交通の円滑化も図る。

 ◇段階的に線路を切り回し◇

 工事区間は既設の渋谷駅端部(P3橋脚付近)からヒカリエ脇までの約176メートル。東急建設・鹿島・清水建設JVが施工を担当する東口広場工区(バスロータリー付近)、明治通り工区と、東急建設・大成建設JVが担当する金王工区(ヒカリエ付近)の三つに分けて移設工事を進めている。

 二つの線路を外側に広げて駅空間を創出するため、現在の軌道部を複数回に分けて切り回す。5、6日に行った初回の切り替え工事では4日夜から明治通り、バスロータリーの一部の通行を規制し、銀座線も5、6両日を終日区間運休(渋谷~表参道間、青山一丁目~溜池山王間)とした。

 運休計画については球場やイベントなどを訪れる人たちが利用する外苑前駅へのアクセスを確保するとともに、溜池山王~浅草駅間を通常の運転間隔で列車を運行させるために折り返し設備がある青山一丁目~溜池山王駅間を運休にした。「利用者への影響を最小限に抑えることを念頭に置きながら検討した」(東京メトロ関係者)という。

 両日の限られた作業時間内に、線路北側への橋梁の新設で支障となる線路2本のうち、まず1本を南側に仮移設した。7日未明までに試験列車走行が完了し、同日始発から全区間で通常運転を行っている。

次回工事は11月19~20日に予定されている
19、20の両日に残る1本を同様に南側に移設し、橋梁の設置スペースを確保する。線路2本の切り替え作業の内容は既設軌道部の撤去、主桁の上で枕木やレールを受ける仮設桁(抱え込み桁、上路桁)の設置、電車線(サードレール)の復旧など。作業員は1日当たり100人強。

 今後の線路切り替えは、新ホームの設置スペースを確保するために2本の線路を外側に移設する工事のほか、分岐器(ポイント)設置に向けた南側の線路の移設、ホーム供用開始前のポイント設置などで予定している。

 新駅舎・ホームの供用開始後、現駅舎・ホームの撤去工事に着手する。全体の工事完了は21年度を見込んでいる。

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