基礎杭の製造・施工・販売を手掛ける三誠(東京都中央区、丹羽伸治代表取締役)は、回転貫入鋼管杭「N-ECSパイル工法」を改良した。これまで対応していた粘土質地盤に加え、砂質と礫質の地盤にも適用範囲を拡大。大きな杭径タイプを用意するとともに、杭先端を羽状に広げた「拡翼」をより大きくできるようにして高支持力を実現した。杭長や本数を削減する経済設計を提案しやすくなり、工期短縮や生産性向上、施工時の二酸化炭素(CO2)削減に貢献する。
同工法は回転させながら鋼管杭を地中に貫入する。先端支持力と引き抜き方向支持力が強く、排出残土が発生しない点が特徴。小型の専用機械を用いるため狭い場所で低騒音・低振動の施工が可能。逆回転で容易に引き抜けるため、円滑な土地再利用も後押しする。
今回の改良では適用範囲を拡張。従前406・4ミリだった最大杭径は、508・0ミリまで拡大した。杭径に対する拡翼の比率も、最大3・5倍まで対応できるようにした。丸一鋼管の協力を得て高強度材料で製造できる体制も構築。国土交通省から許容応力度などの基準強度に関する指定書も取得している。
拡翼面積を大きくすることで十分な支持力を担保しつつコストを下げられ、幅広い地盤条件や設計条件に柔軟に対応できる。東京都内での適用事例では、従来は深度52メートルの固い支持層までの打設が必要だったが、同工法を適用し深度17メートルの中間支持層で対応できた。
小林俊夫常務技術本部長は「今回の開発では最適な杭スペックの提案と経済設計の実現に最も注力した」と話す。柱状改良工法と同程度の支持層深度で対応が可能で、より幅広い場面で利用できるとみる。
同工法は年間4000トン程度を出荷している。3年をめどに年間1・5万トン規模への拡大を目指す。先行して展開している回転貫入鋼管杭「G-ECSパイル工法」と合わせて5万トン規模に伸ばす目標を掲げる。
source https://www.decn.co.jp/?p=147605
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