公共工事の低入札価格調査制度の運用を巡り、いくつかの都道府県でダンピング受注の抑止効果に疑問符が付く状況となっていることが分かった。国土交通省が2021年度の調査実績をアンケートしたところ、実際に調査が多く行われているにもかかわらず、排除されるケースがほとんどない団体が複数あった。応札価格が低くても調査をかいくぐられている可能性がある。国交省は低入調査の実効性が確保されているかどうか改めて各団体に注意喚起し、必要に応じ改善対応を呼び掛けていく方針だ。
低入調査の対象となった場合、失格基準に該当したり自ら辞退したりしたケースを除き、実際に調査を行った応札者の排除状況を聞いた。一般的に煩雑で厳しい調査に対応できず辞退を選ぶことが多いとされ、半数以上の31団体は調査を行った応札者数が10者未満に過ぎなかった。
一方、調査を行った応札者数が10者以上にもかかわらず排除されるケースが著しく少なく、排除割合が1割を下回ったのは▽青森▽宮城▽群馬▽長野▽岐阜▽静岡▽愛知▽山口▽徳島▽福岡-の10団体だった。ダンピング受注の抑止効果が徹底されていない可能性があり、国交省は「注意が必要」と指摘する。要因分析や改善対応に役立ててもらうため、都道府県の入札契約担当者との今後の会合で調査結果を示す。
国交省は低入調査の実効性を確保するため、失格基準価格や特別重点調査制度、施工体制確認型総合評価制度などを組み合わせた運用を働き掛けている。いずれも低価格での応札が不利となったり、一定規模以上の工事などで調査に対応する負担が増したりする仕組みで、ダンピング受注の防止に効果的とみている。
そもそも調査項目が少なく設定され、公共工事入札契約適正化法(入契法)の適正化指針で規定している水準を満たしていない団体も散見されるという。調査基準価格を下回って受注した工事で技術者の追加配置を求めるなど、国交省が「かきくけこ」と称し推進する履行確保措置の徹底も働き掛ける。
source https://www.decn.co.jp/
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