2023年2月20日月曜日

回転窓/竹久夢二が描いた大震災

美人画で知られる竹久夢二に関東大震災を描いた作品がある。被災した東京の町を友人の画家・有島生馬とスケッチして歩き、当時の都新聞(現東京新聞)に「東京災難画信」のタイトルで文章も添えて連載した▼地震の翌日に見た被服廠跡は〈死體(たい)の海〉。火災旋風により4万人近くが犠牲になった場所で、後日に再び訪れて最後の遺体が焼かれている場面を写生した▼浅草観音堂のおみくじ場に並ぶ人たちや不忍池の端で地面に座りたばこを売る娘、夜警に出た夫のために温かいココアを入れようと準備して待つ妻。夢二はそうした〈災害の中で浮かび上がる様々な人間模様〉を写し取った(竹久みなみ監修・港屋発行『竹久夢二 東京災難画信』より)▼災害を取り上げた絵画や文学などの作者は、見る人や読む人に何を伝えているのか。たとえどれだけ長い年月を経ていようともそれぞれが感じ取りたい▼被服廠跡に立つ東京都復興記念館(東京都墨田区の横網町公園内)には東京災難画信とともに、有島が震災の印象を描写した作品が展示されている。今年は関東大震災から100年。今もこの未曽有の災害から学ぶことは多い。


source https://www.decn.co.jp/

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