主要ゼネコン26社の2022年4~12月期決算が14日に出そろった。手持ち工事が順調に進捗(しんちょく)し、前年同期に比べて増収となった企業が多かった。一方で資材・原油の価格高騰や大型工事を中心とした厳しい受注環境の下、コスト管理を徹底し、いかに好採算案件を確保できるかが鍵になる。本業のもうけを示す営業利益は14社が減益となった。先行きが不透明な中、各社は採算重視の受注確保に努めている。
連結売上高は23社が増加。「前年に受注した工事を順調に消化できた」(東急建設)との声の一方、減収の企業からは「工事中断で手持ち工事の進捗が遅れている」(熊谷組)などの要因が挙がった。
営業利益は資材価格高騰による工事原価の上昇などで厳しい状況が続く。民間工事で「物価高騰分の価格転嫁が思うように進まない」との意見が目立つ。海外工事の複数案件で物価高騰に加え施工リスクなどが顕在化した五洋建設は、工事損失引当金を計上した。「風力発電事業1件の売却や建築で物価上昇などの設計変更を予定通り獲得」(インフロニア・ホールディングス〈HD〉)、「年度初めに(最大顧客である)JR東日本と交渉し工事単価を上げてもらった」(東鉄工業)など12社は営業増益となった。
単体の完成工事総利益(粗利益率)は低水準にとどまった。2桁台を確保したのは鹿島、長谷工コーポレーション、インフロニアHD、安藤ハザマ、奥村組など9社だった。
業績の先行指標となる単体受注高は、官民での旺盛な建設需要を受けて引き続き好調だった。今後も豊富な工事量が見込まれ、通期でも多くの企業が受注増を見込む。
民間工事では物価上昇リスクを加味した契約を結ぶ動きが広がりつつある。価格動向に敏感な事業者が発注を延期する事例も出ており、「今後も期ずれが予想される」(準大手ゼネコン)と懸念の声も聞かれる。各社とも手持ち工事を多く抱える中、24年4月には労働時間上限規制が適用される。採算重視の受注に努めるとともに、いかに工事を効率的に消化していくかも重要なポイントになるだろう。
source https://www.decn.co.jp/
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