岸田政権が看板政策の一つに掲げる「デジタル田園都市国家構想」。同構想ではデジタルの力を活用し、地方が抱える課題を解決するなど、これまで推進してきた地方創生の取り組みを一気に加速・深化させる狙いがある。政府は構想の実現に向けた「総合戦略」を昨年末に決定。一定の道筋は見えたものの、デジタルが地方をどのように変えるのか、地域経済にどのような影響が出るかはなお未知数といえる。デジタルは地方に何をもたらすのか--。地域経済を支える建設分野に注目しながら、総合戦略をひもといていく。
政府は昨年12月、地方創生に関する政策の方向性を示してきた「まち・ひと・しごと創生総合戦略」を抜本的に見直し、「デジタル田園都市国家構想総合戦略」(2023~27年度)として打ち出した。
総合戦略に盛り込まれた建設関係の施策を見ると、魅力的な地域づくりに向けた取り組みが目立つ。その一つがインフラ分野のDXだ。インフラ関係の各種手続きの効率化や、国土交通プラットフォームを活用した情報共有、現場作業の遠隔化・自動化・自律化などどで生産性向上を目指す。建築分野のBIMと3D都市モデル「プロジェクト・プラトー」、不動産IDの連携は重要施策分野に位置付けられている。地域公共交通の維持に向けて、MaaS(モビリティ・アズ・ア・サービス)や自動運転の活用拡大なども後押しする。
このほか、デジタル実装の前提となるインフラの整備や人材育成・確保など基盤作りは国が強力に推進する。
政府は構想実現に取り組む地域を「デジタル田園都市国家構想交付金」で財政支援している。島根県は県内でICT施工に取り組む建設事業者などに建機導入費用などを補助しており、補助金の一部に同交付金を充てている。ただ、建設やインフラ分野での同交付金の活用事例はまだ少ないという。内閣官房デジタル田園都市国家構想実現会議事務局は、自治体内で地方創生やデジタルを担当している部局と、土木や営繕などを担当している部局との情報共有が密でないことを理由の一つとみている。
今後、デジタル技術はあらゆる分野、施策と切っても切り離せなくなる。地域の課題を解決し地方創生を実現するためには、自治体側も組織を挙げて取り組む必要がありそうだ。
source https://www.decn.co.jp/
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