2023年2月21日火曜日

免震研究推進機構ら/兵庫県内に実大免震試験施設23年度稼働、最高水準の載荷能力

京都大学、東京工業大学、免震研究推進機構(和田章代表理事)の3者が、政府の支援を得て兵庫県内に整備している実大免震試験施設が来年度、稼働する。世界トップクラスの大荷重と水平方向の大変形能力を備え、免震支承などに高速度、大変位で加振して実験や性能確認ができる。実大規模での試験施設は国内初。摩擦力などを除去した形で試験でき性能を正確に判断し、建築物や構造物の地震対策強化に貢献する。
実大免震試験施設「E-アイソレーション」は、防災科学技術研究所(防災科研、林春男理事長)の兵庫耐震工学研究センター(E-ディフェンス、兵庫県三木市)内に設置。内閣府戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)の「高精度荷重計測機構を有する動的試験機を活用した解析法の開発」の一環となる。
試験機は加振台や反力梁、反力壁、計測機器などで構成。最大載荷能力は、鉛直が静的3・6万キロニュートン(N)、動的3万キロN、水平が静的6500キロN、動的5100キロN。鉛直で25センチ、水平でプラスマイナス130センチの変位が可能。摩擦と慣性力の補正が不要で、大きな軸力をかけている状況下でも高い精度で計測できるという。
免震・制振構造の研究開発や、実プロジェクトでの免震・制振部材の性能実証試験、海外からの研究開発といった利用を想定している。免震部材の構造実験とモデル化した構造解析を組み合わせた「ハイブリッドシミュレーション」や、接合部分も含めた動的加力実験、大型構造物の地震時応答評価などが可能となる。日本免震構造協会(中澤昭伸会長)の支援を得て、認証制度も実施する。
施設はS造2階建て延べ1658平方メートルの規模。設計・施工を大成建設、監理は構造計画研究所が担当。機械部分は大成建設が三菱重工業に発注している。試験機の整備費用は約60億円。本年度に完成予定で完成後は東工大が所有し、同機構に運営を任せる見通しだ。夏以降の本格稼働を見込む。1日当たりの費用(電気代含まず)は130万円程度で、大学の場合は半分を目安に考えている。
同機構らは18日、見学会を開き、整備状況などを報告した。「いろいろな試験で運営していく」(和田代表理事)方針で、E-ディフェンスと合わせて世界の耐震研究の拠点になることを目指す。

建設中の試験施設
外観
source https://www.decn.co.jp/

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