東京電気技術高等専修学校(東電協スクール、菊地潔校長)は、現場の即戦力として活躍できる技術者の育成を半世紀余にわたって手掛けてきた。
電気工事会社に所属する社員などが日々、東京・元赤坂にある同校に通い、夜間を利用した1年間のカリキュラムで国家資格の第二種電気工事士の取得を目指す。これまでに2100人以上が同校を巣立ち、業界の最前線で活躍する。
ベテランの講師陣から徹底した技術指導を受けることができる教育の現場を取材した。
東電協スクールは、1964年に東京電業協会(東電協、江川健太郎会長)が設置した。業界団体自らが運営する学校であり、通学に当たって一定の支援が受けられる厚生労働省の「教育訓練給付制度(専門実践教育訓練)」や「高等学校等就学資金制度」を利用することが可能だ。
今年で設立から52年。会員各社やその協力会社に所属する社員などを育成してきた。中には建設分野以外で働きながら通信教育で電気工事士の資格を取得し、「講師陣から手ほどきを受けて実践に即した基礎技術を身に付けたい」と通ってくる人もいる。本年度、スクールに通うのは20人ほどで、下は10代から上は50代までと幅広い。
月曜から土曜までの夜間(午後6~10時)に行われる授業は、1年間を通して一般教養に16時間、専門教科に416時間、実習に580時間の計1012時間が充てられる。教育方針は現場の実践ですぐに対応できる人材の育成であり、安全対策から現場で実際に使用する道具の使い方を含めて徹底指導する。
特徴的なのは、現場経験も豊富な講師陣が黒板に配線図などを丁寧に手描きし、それを生徒たちが描き写すという方法。その繰り返しによって自然と知識が身に付くというのが、東電協スクールの「こだわり」(菊地校長)でもある。
異分野のNPO法人で働いていた24歳の生徒は、同校のことをインターネットで見つけ、入学のために和歌山県から上京。「手に職を付けたい」という強い思いが入学の動機になったという。卒業後は「一人前の工事士として、現場を引っ張れるような存在になりたい」と目を輝かせた。
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