◇採点や解体作業にもプロの技◇
鉄筋EXPO2017の2日目のメイン行事は、全国鉄筋工事業協会(全鉄筋)が主催する第2回全国鉄筋技能大会だ。出場したのは各地の予選を勝ち抜いた精鋭37選手。「TETSU-1グランプリ」として、日頃現場で鍛え上げた技を披露し、「最強鉄筋工」の称号を目指して競い合った。
大会は、一昨年に富士教育訓練センター(静岡県富士宮市)で開かれたのに続いて2回目の開催。会場には、選手を応援しようと所属企業や団体からも多くの人たちが駆け付け、開場前の入り口には朝から長蛇の列ができていた。
競技では、床面を基礎捨てコンクリート上端と見立て、「鉄筋組み立て用図面」に示す基礎、柱、梁の取り合い部の組み立て作業を行う。前回大会と異なるのは、鉄筋EXPOという首都圏での大舞台が用意されたことだ。一般来場者を含め、鉄筋工のすごさを見せつける絶好の機会にもなる。
午前の前半組、午後の後半組に分かれて競技が行われ、標準時間は1時間20分。1時間40分で打ちきりとなる。普段は現場で人知れず黙々と作業する選手たちだが、会場を取り囲む多くの観衆が見守る緊張した環境下での作業を強いられる。
それでも多くの選手が平常心を保って競技は進行。標準時間を残し、1時間ほどで組み上げる選手も多数出て、プロの職人が見せる「すご技」に会場から拍手を送る場面が何度も見られた。
◇採点や解体作業にもプロの技◇
競技自体は37人の選手で争ったが、終了後の採点員、組み上がった鉄筋をばらす解体作業に当たったスタッフの迅速な動きもまた、プロの職人技を来場者に見せるものとなった。
優勝(国土交通大臣賞)の栄冠を手にしたのは関西代表の谷口圭選手(富田興業)。2位(国交省土地・建設産業局長賞)には静岡県代表の立野匡昭選手(長友鉄筋工業)、3位(全鉄筋会長賞)には新潟県代表の渡辺博一選手(SUN興業)が入った。
表彰式で後援団体を代表してあいさつした建設業振興基金の内田俊一理事長は、「それぞれの会社で中核となって活躍されているであろう皆さんが腕を磨くことが、後輩たちに大きな力を与え、若者たちにも誇りを持って働くことができる建設業界の姿を伝えていくことになる」と述べ、建設業界で最大の課題とされる担い手確保・育成に果たす大きな役割に期待を示した。
優勝した谷口選手は、関西地区でマンション工事の現場を中心に活躍する職人。大会に向けて1カ月ほど前から準備を重ね、「(課題を)50回ぐらいは組んだ」という。
一般来場者も見守る競技を通じて、「若者たちがこういう世界に足を踏み入れるきっかけになればと思う」と話した。
表彰式では、表彰状、優勝カップ、賞金、副賞として鉄筋による特製のゴルフパターを手にし、「協力してくれた会社や仲間、そして家族に感謝する。今後も日々精進を重ねていく。あすからも魂込めて『結束』します」と宣言した。