2017年11月21日火曜日

【記者手帖】ストック効果の発信を

近畿地方に甚大な被害をもたらした10月の台風21号。奈良県内でも大雨によって1級河川の大和川の水位が急上昇し、一部で浸水被害が発生した。交通機関は乱れ、大阪市内への通勤ルートがすべて絶たれた◆小学生だった1982年にも台風による豪雨で大和川支川の堤防が決壊し、隣町の王寺町などで壊滅的被害が起きた。30年以上たった今も当時の記憶は鮮明だ。国土交通省の観測によると、今回の出水は82年を上回る規模だった。にもかかわらず被害が以前ほど広範囲に及ばなかったのは、長年にわたって堤防の強化やかさ上げなどの治水対策が進められてきたからだ◆テレビで被害状況が報じられている時、小学生の娘が「もっと堤防を高くすればいいのに」と一言。過去の災害を知らない娘はそう思うだろう。河川整備は道路などに比べて目立たず、ストック効果も早期には発現しにくい◆報道機関として、被害状況や復旧活動を伝えることは重要だが、長年のインフラ整備が地域の安全度向上に貢献している事実もしっかりと伝えていく必要があると痛感した。(大)

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