2017年11月2日木曜日

【回転窓】ネット時代の寄進方法

平安時代末期から鎌倉時代にかけて活躍した仏師・運慶。学校の教科書で東大寺南大門の金剛力士像の制作者として取り上げられ、日本で最も著名な仏師の一人だろう▼現存する運慶作またはその可能性が高い仏像は31体とされる。このうち22体を集めた史上最大の「運慶展」が東京・上野の東京国立博物館で開かれている(11月26日まで)。所蔵するお寺などでは普段は見られない角度から作品を堪能できる▼神奈川県横須賀市の浄楽寺からは、本尊の阿弥陀如来坐像をはじめ、国の重要文化財に指定された「真作の運慶仏」5体が出展された。仏像を寺外に持ち出すことには賛否両論あるようだが、展示会を機に収蔵庫の修繕・免震工事を行うそうだ。経年劣化に加え、東日本大震災後に収蔵庫の近くに断層が確認され、対策が急務という▼工事費用にはクラウドファンディングを利用して広く支援を募っている。支援者には限定の朱印やお守りなどさまざまなお礼が用意されている▼地域で長年守り続けられ、信仰の対象と同時に文化財的価値もある仏像を後世に引き継ぐ。ネット時代での新たな寄進方法に期待が集まる。

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