南海電気鉄道は28日、浜寺公園駅(堺市西区浜寺公園町2)旧駅舎の曳き家(ひきや)工事の現場を報道関係者に公開した。建物を油圧装置で基礎から切り離し、レール上で南西へ3日間で約30m移動させる。
「南海本線(堺市)連続立体交差事業」で旧駅舎は高架化する駅舎の正面玄関としての機能を担う。同事業4工区(浜寺公園駅部)の施工は大林組・南海辰村建設・佐藤工業・三井住友建設JVが担当。国有形文化財の旧駅舎はW造平屋約200平方メートル。辰野金吾が設計した。連立事業に伴い16年1月に駅舎としての使用を停止した。旧駅舎は28日と12月1日に南西方向に約20m、18日には西方向に約10m移動させる。
曳き家に先駆けて実施した構造補強の調査を行ったところ、従来は構造材の柱・梁・斜材などを露出させ構造材以外をモルタルで仕上げた「ハーフティンバー様式」と考えられていたが、旧駅舎の斜材などは構造材でなく装飾材であり同様式でもないことが判明した。「登録有形文化財浜寺公園駅舎曳家外工事実施設計業務(その2)」はネオジオ(大阪府富田林市)が担当。
堺市・南海電鉄が進める南海本線の連立事業は堺市から大阪府高石市までの約2・7kmを高架化する。堺市域の延長約2・3kmと高石市域の延長約0・4kmを高架化して7カ所の踏切を取り除き交通渋滞や事故を解消する。事業の完了予定は28年3月31日で同4月の開業を目指す。堺市は13年度に駅舎の活用プランと、新設高架駅舎、周辺景観のデザインを募るコンペを実施し、アプル総合計画事務所(東京都文京区)の作品を最優秀に選定した。
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