2017年11月27日月曜日

【建設業の心温まる物語】三瓶建設・宮中皓太さん(愛媛県)

 ◇愛媛県の段々畑◇

 愛媛県の南西部沿岸は、柑橘の生産が盛んです。山の斜面の多くは段々畑が形成され、みかん畑が広がっています。しかし、これらのみかん畑は昭和初期頃に造られたものが多く、土砂崩壊などが各所で見られます。人出不足で補修ができず放置されているところが多いのです。

 そんな中、高齢の女性からみかん畑の石積みを補修してほしいとの依頼がありました。現場を視察しに行くと、そこは人がすれ違うこともできないような幅の狭い山道の先にあり、たいへん施工条件の悪い現場でした。

 その女性からよくお話を聞いてみると、あまりの条件の悪さに地元の建設会社から断られてしまったとのことです。私も断ろうかと思ったのですが、ほかに業者のあてもなくとても困っていた様子だったので、引き受けることにしました。

 案の定、人力で資材を運搬するため多くの時間をとられました。また建設機械が入らないので、全て手作業で施工しなければなりません。苦労の末、なんとか工事を終了することができました。

 工事完了の連絡をしに女性の家を訪ねたところ、「工事を引き受けていただいたおかげで、みかん畑がようやくきれいになりました。多くの業者さんに断られたので途方にくれていたところ、助けていただき本当にありがとうございます。」とたいへん喜んでくれました。それまではご主人が畑の補修を行っていたそうですが、最近亡くなったため、どうしようもなかったと涙ながらにお話ししてくださいました。とてもたいへんな現場でしたが、引き受けて良かったな、と苦労が報われた瞬間でした。

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