2017年11月10日金曜日

【回転窓】車がミチを鍛える

トヨタ自動車が、18年ぶりに参戦した自動車レース、世界ラリー選手権(WRC)で1年目とは思えない2勝を挙げる活躍ぶりだ。12年にハイブリッドエンジン搭載車で復帰した世界耐久選手権(WEC)もしかり。レース参戦を同社は「もっといいクルマづくり」の一環と捉える▼「道がクルマを作り、道がクルマを鍛える」。自らも「モリゾウ」と名乗って国内ラリーなどに参戦している豊田章男社長がそう語るように、クルマづくりでは道との対話が欠かせない。特に悪路を走るラリーは、乗り心地を追求していく上でも大きな要素となろう▼豊田社長の言葉を逆に捉え、「車がミチを作り、車がミチを鍛える」ともいえるのではないか。実際に道路舗装の分野では、車の乗り心地を客観評価する指数もある▼道路舗装大手の前田道路が、過疎化が進む地方で、重篤患者を乗せて長距離搬送する救急車両とタイアップした「いのちの道」づくりのサポートに乗りだした。車両から得られるデータを補修箇所を特定するのに役立てるのだという▼車の声に真摯(しんし)に耳を傾け、ミチづくりに生かす。そんな取り組みに期待したい。

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