2017年11月29日水曜日

【回転窓】経営の神様の国土創成論

 「経営の神様」と称される松下幸之助が残した著書や名言は多く、小欄でもたびたび引用させてもらっている。日本埋立浚渫協会の広報誌「マリンボイス21」(Autumn2017)に掲載された古土井光昭氏の講演録から、この偉大な経営者に、新しい国土のあり方を提言した著書があるのを知った▼題名は『新国土創成論』(1976年、PHP研究所)。国土の狭さから来る行き詰まりを打開し、国全体の均衡ある発展を可能にする新国土を200年かけて創成するという提案である▼山岳森林地帯の一定割合を開発整備するなどして有効可住国土を拡大。これにより、「過疎過密のない国土」「快適でゆとりある住まい」「安定した食料の自給」「自然の猛威を克服」などの成果を生み出す▼人口減少が始まった現在とは状況が異なるが、日本の未来を見据えた壮大なビジョンの内容に驚かされる。資金調達や人手の確保についても提言しているのはやはり経営者としての鋭い視点があってのことであろう▼松下は「国家の大計を打ち立てることが急務でないかと思うのです」と書く。この必要性は現代にも共通する。

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