国土交通省が茨城県古河市の利根川で進めている釈水水門の整備。川を仮締め切りした後に既存堤防を掘り下げ、そこに新たな水門を設ける。切った堤防の断面に、利根川堤防の変遷が見て取れる▼旧堤と思われる部分は正直、心もとない。いかに今のインフラが大きいかが分かる。建設地の地名は「水海」。置かれている境遇が地名から分かる。70年前のカスリーン台風では、遠くない場所で堤防が決壊した▼現場担当者が「見える部分だけが土木ではない」と言っていた。ここに限らず、今立っている場所も、家がある場所も、建設工事で造られた所が大多数のはず。だが、普段はそうした事実がなかなか分からない▼現在の堤防になるまでに何人が汗を流したのだろう。危ない場面もあったに違いない。そうした蓄積の上に今の安全・安心がある。「道路も河川も空気のように使われている」。技術者名を記す工事銘板の設置を進める行政担当者の一人が話していた。そうした風潮を変えたい-と▼インフラを造り上げた技術者たちは名も無き人ではない。今造っている人も、これから造っていく人も、それは変わらない。
0 comments :
コメントを投稿