「タックスヘイブン」は「租税回避地」のこと。ところが、この言葉の後半部分の「ヘイブン」を「ヘブン」と誤って覚えている人が随分多いという話を聞いた▼英語で避難所を意味する「haven(ヘイブン)」と、天国や楽園を表す「heaven(ヘブン)」。少し前の「パナマ文書」や、最近明るみに出た「パラダイス文書」などの報道を見るにつけ、むしろヘブンの方が実態をよく表しているのではないかと思われる▼直訳すれば「税金天国」。役所言葉のような租税回避地と違って身もふたもない表現になるが、その回避地が多いカリブ海の島々に降り注ぐまばゆい陽光や真っ青な海とも相まって、妙にしっくりくる▼実際、フランス語やドイツ語では天国や楽園を意味する語が当てられているそうである。いっそのこと日本語も天国に変えてしまったらどうだろう▼年末の来年度政府予算案の編成に向けて、税制に関する議論も活発になっている。歳出圧力の強まりに対し、財源確保の議論はなかなか進まないのが常である。税金は「取りやすい」所ではなく「取るべき」所から取る。そこを徹底してもらいたい。
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