主要ゼネコン26社の17年4~9月期決算が14日出そろった。豊富な手持ち工事が順調に進ちょくしたことにより、前年同期に比べ20社が増収。国内工事の完成工事総利益(粗利益)率の改善はさらに進み、営業利益は15社、経常利益は19社、純利益は17社が前年同期を上回った。
4~6月期に続き、労務・資材費が安定して推移したのに加え、生産性向上や原価低減の取り組みなどが奏功。粗利益率は16社が前年同期を上回った。高水準の粗利益率が利益全体を押し上げる形になり、中間期の最高益を更新する企業も目立つ。
大林組は4期連続、鹿島は2期連続で営業利益、経常利益、純利益の過去最高を更新。清水建設は経常利益と純利益が過去最高、大成建設は営業利益、経常利益、純利益、戸田建設は営業利益と経常利益が過去最高となった。安藤ハザマは営業利益、経常利益、純利益が13年4月の合併以降で最高値となった。
好調な業績を受け、株主への還元を増やすとともに、繁忙が続く社員のモチベーションを高めるため、賞与をアップする企業もある。
一方、業績の先行指標となる単体受注高は15社が前年同期を下回った。「前年同期の受注高が大きかったための反動減」「受注を狙っていた工事の発注時期のずれ」「施工体制の問題」を理由に挙げる社が多い。「数少ない工事に多くの社が集中して採算度外視で受注するようなことは起きていない」(大手ゼネコン)とし、引き続き堅調な受注環境が続いているようだ。
一方、これから下期にかけて建設コストの上昇を懸念材料に挙げる社も多い。「現時点で大幅なコスト増加などの利益悪化要因はないが、引き続き資材・労務費の上昇リスクは注視していく」(準大手ゼネコン)との声もある。
中間期に通期の業績修正を行った社を含め、通期の粗利益率は、回答した23社のうち15社が前年同期を下回ると予想する。準大手ゼネコンの中には「新任所長の予算管理の指導を強化した」という社もあり、現場の生産性向上の取り組みとともに、原価管理の徹底が一段と求められる。
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