2018年3月22日木曜日

【回転窓】春の風物詩も今は昔

かつて1年で予算を使い切ることを原則とする国や地方自治体の「予算単年度主義」の弊害と指摘されたのが、3月に工期末が集中し、東京各所で渋滞を生んだ道路工事だ▼「マスコミの批判にさらされる春の風物詩はいかがなものか」。国の審議会で専門家が改善を訴えた集中工事も、最近は随分減ったように思う▼工事が分散実施されるようになった要因の一つに、国や東京都、民間インフラ事業者が組織した道路工事調整協議会の取り組みがあるのをご存じだろうか。発注の平準化や共同施工による時間短縮、非開削工法の多用といったアイデアが協議会で生まれ、同様の取り組みが全国に広がった▼建設コンサルタンツ協会が今、3月に集中する業務の納期を次年度や9月に分散するよう提案している。国や地方と意見を交換する会議で予算単年度主義の弊害を訴える姿は道路工事の議論と重なるが、発注者の動きは鈍い▼長時間労働や就労環境に対して社会の目は厳しくなっている。法改正の流れもあり、企業の危機感は過去にないほど高まっている。業界の声に国や地方はどう応えるのか。時間的な猶予はそう多くない。

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