東京は今週に入り春らしい陽気が続く。暖かな日差しが降り注ぎ、ちょっと外に出てみようかと思いたくなる気候になった。行楽シーズンの始まりは花見。東京都葛飾区にある新小岩地区の町会では、ボートに乗って川から桜を楽しむそうだ▼ボートを備えているのは防災が目的。ゼロメートル地帯に位置し、河川堤防が決壊してしまうと浸水期間が数週間に及ぶ可能性があり、エンジン付きゴムボートを購入した▼運転に慣れておくため6月に周辺の町会と一緒に訓練を行うそうだが、堅苦しい行事だけではなかなか人が集まらない。「遊びの要素を取り入れて参加してもらうことが、訓練にもつながる」と、水上の花見を思い付いた▼危険があることは認識しつつ、自然を楽しむ姿勢も時には必要。水害を恐れているばかりでは、せっかくの豊かな水辺がもったいない。楽しみながら川の姿を見ておき、地形などを把握しておけば、もしもの時の助けになる▼同地区では、水害対策などを地域全体で話し合う輪中会議も開いている。一つ一つは小さな動きだがその積み重ねは人のつながりを育み、大きな防災力になるのだろう。
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