淡いピンクの花弁が一斉に咲き競う姿は春の訪れが実感できる日本の風物詩といえるだろう。わずか2週間ほどで散ってしまうはかなさ、そして風に乗って無数の花びらが舞い散る様子も見る者の心を奪う▼花見の起源は奈良時代といわれる。7世紀後半から8世紀後半にかけて編さんされたといわれる『万葉集』では桜よりも梅を詠んだ歌が多いそうだが、平安時代の10世紀初頭に編まれた『古今和歌集』では桜と梅の数が逆転。春の花として定着したことがうかがえる▼時代の流れとともに貴族の風習だった花見は武士に広がり、江戸時代には庶民も楽しむように。この頃の桜は山桜などが主流で、現在桜の代名詞にもなっている「ソメイヨシノ」が広まったのは明治期に入ってからだそうだ▼年度末を迎えた今週は何かと慌ただしく、忙しさもピークという方が多かろう。進学、就職、転勤と節目が訪れ、当事者でなくてもついつい心の余裕を失いがちかもしれない▼恐らく東京は月末が満開の時期。咲き誇る桜をめでて春の訪れを家族や友人、恋人と満喫する。お楽しみのために、まずは山積み仕事を片付けるとするか。
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