「サラリーマン的な(無難な)発想が日本の建築をつまらなくしている。そもそも建築設計はリスクを負わなければいけない仕事だ」-。先月、建築家の隈研吾氏にインタビューする機会があり、現在の建築界に対する思いをうかがった▼横並びを好みリスクを忌避する多くの日本人の姿勢が建築界、ひいては国全体の閉塞(へいそく)を生んでいるというのが隈氏の考え。失敗を恐れずこれからも新たな素材を建築に取り入れ続けるとも▼伝統を守るのか、革新的なデザインを採用するのか。二者択一で選ぶという単純な話ではないのだろうが、都市の街並みを形作っていく上で建築家の果たす役割はいつの時代も大きい▼多くの伝統建築が残る欧州では街並みの統一性が重んじられ、革新的な設計案が採用される機会は少ない。ある若手建築家はこう話し、法制度や規制を考えた場合、「日本の方が自由な発想を具現化する余地が大きい」と指摘する▼一つの事柄も見るポジションや考え方によって捉え方は大きく変わる。固定観念を捨てて思考を柔軟にし多角的に捉える。言葉にするのは簡単なのだが、実践はなかなか難しい。
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