2018年3月13日火曜日

【記者手帖】まれな人

3年ほど前、取材先の記者クラブでよく顔を合わせていた別の建設専門紙の記者が亡くなった。持病で通院しているとは聞いていたものの、急な訃報に耳を疑った。数日前に同じ記者室で話をし、記事を書いていたアクティブな姿が印象的だったからだ◆初対面の時点で、「この人を忘れることはないだろう」という予感はあった。一つ一つの表情や話し方、しぐさにどこか愛嬌(あいきょう)があり、そのスタイルを公私で区別しない。近い距離感や率直さを苦手とする人もいたが、取材相手から「猛者のよう」と敬意を表されることもあった◆そうした存在は、当時の自分にも影響を与えている。あえて個性を前面に出し、相手の懐に飛び込もうとするあの姿勢。もし今も存命だったら、以前よりは成長したはずの自分を競わせてみたい。一度、一緒に仕事をしてみたかったとの思いもある◆すべてをまねする気はないが、取材でどう対応すれば相手からコメントを引き出せるか迷った時などは、たまに想像する。「あの人ならこうするだろう」。同業者でそう思える人は少ない。(も)

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