2018年3月26日月曜日

【建設業の心温まる物語】永賢組(愛知県)・永草孝憲さん

 ◇人と人の繋がりを大切にし、豊かな未来を創造をする◇

 私は現在35歳。創業61年目を迎える建設会社の経営者です。5年前に61歳で他界した先代経営者である父との話です。

 父は田舎から名古屋に出てきて、創業家の娘と結婚をし、2代目経営者になりました。お客さま一人一人のことを心から大切にしていました。仕事以外のことを相談されても、親身になって自分のことのように助けたり、アドバイスをしたりしていました。人と人のつながりを大切にしていたこともあり、多くの方々から、仕事の紹介や、依頼をいただいておりました。

 そんな父と私は、度々衝突をしていました。私は「会社にファンを付けなければダメだ」、「マーケティングをしっかりしなければダメだ」などと、実績もあまりないのに理屈を振りかざしていました。

 父に病気が発覚し、入院したため営業ができなくなりました。私が父の代わりにトップ営業をしなければなりません。私は今まで主張していた方法論で行動しましたが、思うように成果がでません。そんな時に、助けてくれたのは父の友人や、自分の友人でした。一人一人とのつながりを大切にする仕事の仕方が重要だということが改めてわかりました。

 ついに父が亡くなり、ぼうぜんとしていたある日、父の使っていた携帯電話を私が使うことになりました。電源をつけて携帯を開くと、亡くなる前日まで多くの通話履歴が残っていました。父が、お客さまや友人に対して話した痕跡でした。その後、多くの方々から電話をいただきました。皆さん「おまえのおやじに頼まれたから、うちの家を作ってくれ」「事務所を作ってくれ」というものでした。涙が出てきました。

 経営理念を「人と人の繋がりを大切にし、豊かな未来を創造する」にしました。そして私自身、人を大切にして後世につなげていく仕事をしていきたいと決意しました。

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