2018年3月12日月曜日

【駆け出しのころ】松井建設取締役執行役員九州支店長・盆子原和利氏

 ◇「良い仕事をする」を信条に◇

 工業高校で建築を専門に学びながら、工事現場で型枠工のアルバイトを経験しました。そのころから将来は建設の道に進むことを決めており、高校卒業後、松井建設に入社しました。

 最初に配属されたのは、当社が設計・施工を手掛けた病院の現場で、私を含め4人の社員がいました。そこで施工管理の基礎となる工程・安全・品質・予算に加え、職人との信頼関係の大切さ、どのように施工のポイントを理解してもらうのかなど基礎中の基礎を一から教えてもらいました。

 特に屋上部分の施工に携わった時には、漏水を防ぐために必要な注意点について指導を受けたことが印象に残り、徹底した品質へのこだわりの大切さを改めて考えさせられました。

 現場で先輩たちの姿に学びながら、施工管理とは会社の技術を職人に理解させ協力し合い、建築物を完成へと導く大切な役割を担っていることを実感しました。手待ち、手戻り、手直しを起こさない職場づくりに努めるとともに、「信用日本一」の社是の通り仕事に取り組まなければならないと固く決意しました。

 業務に追われる日々でしたが、コンクリートの打設後などに、現場の先輩などと一升瓶を開け、お酒を飲み明かし、喜怒哀楽を分かち合えたことは、今でもいい思い出です。

 その後、庁舎や流通センター、学校、事務所などの現場の工事に携わり、多くの経験をさせてもらいました。中でも記憶に残っているのは、所長として担当した学校の建設工事です。教室棟や講堂体育館、プールなどがあり、工期的に難のある建物でした。

 工事を行う学校敷地内には、ほかの建設会社などの棟もあり敷地内別発注者の統括の安全や敷地内リーダーも求められ、綿密な基本計画の下に工程管理が求められました。施工計画を1日ごとに練り直し、現場全体が円滑に進むよう試行錯誤の毎日でしたが、お客さまの信頼に応えたい一心で皆と共に取り組み、無事、工期通りに全棟竣工できた時には感無量でした。

 施工管理は、マネジメント能力と緻密なコミュニケーションが必要です。そして仲間と理解し合い、共に達成感を喜び合える仕事です。何よりお客さまに喜んでいただくやりがいのある職務と思っています。

 これまで50年以上、建設業に携わり、「誰にも負けない良い仕事をする」を信条にしてきました。コンクリートを打ち上げた満足感、足場が取れた時の喜び、そして竣工引き渡しをした時の達成感を味わい続けてきました。これが建設業の面白さだと今でも感じています。若い社員にもこの醍醐味(だいごみ)をさらに味わってもらいたいです。そして発注者や、設計監理者、協力し合い携わっていただいた協力業者といった関係する皆さまに深く感謝申し上げます。

 (ぼんこはら・かずとし)1967年山口県立下関中央工業高校卒、69年松井建設入社。96年九州支店建築部工事長、98年同品質管理室副室長、2000年同営業部副部長、06年同営業部部長、07年同副支店長、08年執行役員九州支店副支店長、16年取締役執行役員九州支店長。山口県出身、68歳。

現場で活躍していた30代のころ(右側が本人)

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