九州地方整備局熊本復興事務所は、「国道325号ルート・構造に関する技術検討会」(会長・日野伸一九州大学副学長)の会合で、16年4月の熊本地震で被災し権限代行の災害復旧事業で架け替えを進めている国道325号阿蘇大橋の設計の変更内容などを報告した。
地震による落橋防止策として鋼橋で計画している右岸側のアプローチ橋は活断層が存在する可能性がある箇所をまたぐ部分の形式を他と異なる単純箱桁橋とし、橋脚上部の橋桁などを支える部分の幅を広くする。
同事務所によると黒川渡河部に当たる本橋の形式は従来計画通りPC3径間連続ラーメン箱桁橋、延長345メートル。地質調査などを踏まえ、下部工の基礎長や橋脚高を変更した。のり面部の基礎工の施工では土留め工法を採用することにより掘削面積を縮小し、掘削範囲を最小限に抑える。
アプローチ橋は掘削土を有効活用し盛り土形式に変更することで橋長を従来計画より80メートル短い180メートルに縮小した。
アプローチ橋の形式は推定活断層との交差部に当たり本橋と接続する1径間延長65メートルを鋼単純箱桁橋、これ以外を鋼3径間連続鈑桁橋とする。一部を箱桁橋とすることで熊本地震と同程度以上の地震が発生した場合でも箱桁橋の支承部を先行損傷させ被害をできるだけ抑え、箱桁橋の橋脚は支承や橋桁を支える沓座の幅を一般的な橋脚より広くし落橋しにくくする。
今回確定した設計について同事務所の辻芳樹所長は「熊本地震を踏まえ技術的に高度な設計をしている。断層が変位しても(橋梁は)変位が生じにくく、もし損傷しても早期に復旧できる」と話した。
架け替えではこれまでに不安定土砂の除去やのり面の掘削などを行っており、18年度に本橋の基礎工などに着手する。20年度の完成・開通を目指す。本橋の上下部工事は大成建設・IHIインフラ建設・八方建設地域維持型JV、設計業務は長大が担当。
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