鴻池組とイクシスは、RC橋脚の耐震補強(RC巻き立て)に伴う表面処理工(バキュームブラスト)が自動化できるロボットを開発した。エアシリンダー(空圧)により橋脚に把持し、橋脚壁面をタイヤで自律走行しながら自動研掃する。足場が不要になり、通常2人で行う研掃作業をロボット1台で代替できるため、省人化や苦渋作業軽減、安全性の向上が期待できる。11、12日に大阪府岸和田市の鴻池組岸和田機材センターで公開試験を行った。
矩形(くけい)断面のRC橋脚を対象とし、現時点では橋軸方向1~3メートル、橋軸直角方向2~6メートル、橋脚高さ15メートルまでの範囲に適用できる。
ロボットの総重量は約800キロ。研掃ユニットと昇降ユニットで構成する。昇降ユニットは可変式で、フレームのパーツを組み替えることで幅広い寸法に対応。昇降機構(駆動輪モジュール)や押し付け機構、落下防止機構を備える。複数箇所に設置したセンサーやカメラから得た情報をフィードバックし、装置全体を自律的に稼働させる。
研掃ユニットは上下、水平、前後の3軸移動機構を搭載。フレームと一体化した走行レールに沿って毎秒60~80ミリの速度で自律的に水平移動する。ブラストカップを壁面に密着させることで、研掃材の漏れや粉じんの飛散を防ぐ。
ブラストガンの大型化や橋脚の2面同時研掃により、1日当たり160平方メートル以上の施工が可能。通常のバキュームブラスト工法に比べ生産性が2倍以上向上する。
公開試験では最大適用可能寸法の橋脚を模したボックスカルバートの試験体(3メートル×6メートル、高さ4・5メートル)に装置を設置。壁面を昇降させながら前後両面を精度良く自律研掃できることを確認した。2025年度以降に現場適用を目指す。
鴻池組の先森昭博土木事業総轄本部技術本部長は「より現場のニーズに合った技術へと磨きをかけていく」と話し、橋梁以外の耐震補強や鋼製構造物の塗膜除去工、維持管理分野への適用拡大も視野に、装置の改良を検討していく考えだ。
from 企業・経営 – 日刊建設工業新聞 https://www.decn.co.jp/?p=169735
via 日刊建設工業新聞
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