土木工学者の吉田徳次郎(1888~1960年)は1954年12月発行の土木学会誌で、良いコンクリートとそうでないものを「知識と施工についての正直親切の程度の差からおこる」と説いた。技術者の心構えとして現代にも通じる▼第37代土木学会長を務め、学術発展に貢献してきた吉田は数多くの土木事業でコンクリートの施工導入を指導した。その中には塚原ダム(宮崎県、38年竣工)や佐久間ダム(静岡県、56年)など当時の日本経済を支えてきたものばかり▼国内には1481カ所のダムが存在する。利水と治水機能を持った多目的ダムは573カ所を数える▼11月には栃木県鹿沼市にある南摩ダムが試験湛水を開始した。豪雨時に下流域への洪水調整機能を発揮するだけでなく、周辺河川が渇水した時は同市とその近隣自治体、埼玉や千葉県の一部にも水が送られる▼発注者の水資源機構にとってこれが最後の新規ダム建設とされ、維持管理業務がメインになりつつある。ダムのポテンシャルを一層高めていくためにも、地道なメンテナンスと技術者の「正直で親切」な意識が必要であることに変わりはない。
from 論説・コラム – 日刊建設工業新聞 https://www.decn.co.jp/?p=169501
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