厚生労働省所管の職業能力開発総合大学校(東京都小平市)は6日、職人の感覚を可視化して学生の技能習得につなげる「技能分析スタジオ」を報道機関に公開した。作業時の視線や体の動きを感知し、画面に映す装置を身につけた学生によるのこぎり引き作業を実施。配筋作業を効率化するMR(複合現実)システムも説明した。これら技術を2025年度にも授業の教材として本格実装していく。
技能分析スタジオは感覚に基づく技能をデータに残し、指導方法を改良するため23年度に開設した。ゴーグル型の視線計測装置や、筋肉の動きを捉えるため手のひらに付ける筋電計などから得た情報を画面に投影するモーションキャプチャーシステムを備えている。システムを装着した学生が木材に足をかけてのこぎりを入れると、画面に赤い丸で囲まれた視線や体の動き、足の力のかかり具合が映し出された。
大学校の塚崎英世教授は「熟練した職人が持つ勘やこつは言葉での説明が難しい。こうしたものを『見える化』して伝えたい」と話した。システムを利用して作った動画は学生の確認テストに使っており、25年度にも授業の教材として本格実装する。スタジオは職人が展開図を描く時の脳の動きや、空間把握能力の分析にも活用していく。
大学校基盤整備センター開発部の武市淳高度技能者養成訓練開発室長は、ヘルメットとゴーグルが一体となって視界の情報を画面に映すMRシステムを説明した。頭にかぶって組み立て中の鉄筋を見ると、既存の鉄筋に重なって完成後の配筋図が表示される。武市室長は「受講者ごとの技能のばらつきを抑え、読図能力を身につけられる」とシステムへの期待を話した。
from 行事 – 日刊建設工業新聞 https://www.decn.co.jp/?p=169610
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