上水道・下水道・工業用水道分野の官民連携に関する地方自治体の関心が一段と大きくなってきた。国土交通省によると、多くの団体が施設の更新・耐震化を課題と捉え、官民連携を軸に対策の検討が必要と考えているという。広域化、DX、AM(アセットマネジメント)などへの関心も高い。国庫補助の要件見直しもあって、上下水道施設などの維持管理や修繕、更新を一体的に民間に委ねるウオーターPPPに前向きな自治体が増えている。
水道関係の事業者は、老朽化や料金収入などさまざまな課題と向き合っている。経営の効率化や技術者不足といった課題にも対応する必要がある。下水処理場であれば、点検・操作といった管理業務は9割以上が民間委託され、複数の業務を複数年委託する包括的民間委託が増加している。ウオーターPPPをはじめPFI法に基づくコンセッション(公共施設運営権)事業が広がりつつある。
自治体の関心は、更新・耐震化、管路・機器の維持管理、DX、広域連携・広域化、AMに向けられている。官民連携の取り組みとして、ウオーターPPPを検討する自治体は多く、導入可能性調査に着手した団体が複数ある。長野県茅野市は2025年度に同調査を実施する予定。岐阜県のように流域関連の公共下水道と一体で検討したり、県内の市町村が単独、近隣とで導入の検討に着手していたりする地域がある。
地域連携の動きも活発化する見通し。岐阜県内は東濃地域の複数の市が官民連携の可能性を模索中。鳥取県内は、県管理の流域下水道事業と5自治体が25年度に導入可能性調査を行う予定だ。東京都武蔵村山市は、契約手法の検討に入っている。
水道では官民連携の導入調査や検討、計画作成を支援する国交省の官民連携等基盤強化推進事業の採択が27年度までとなっている。下水道は汚水管改築の国費支援が、緊急輸送道路に埋設された管の耐震化を除いて、ウオーターPPPの導入決定が27年度以降に要件化される。工業用水道も経済産業省が一定規模の事業の場合、28年度からウオーターPPPの導入を補助金採択の要件にする。
こうした状況から自治体やインフラ管理者によるウオーターPPPの事業化は「2、3年でさらに増える」(国交省幹部)とみられている。
from 行政・団体 – 日刊建設工業新聞 https://www.decn.co.jp/?p=169750
via 日刊建設工業新聞
0 comments :
コメントを投稿