日刊建設工業新聞社は25日付で「創刊90周年記念特集号・第1集」(別刷り)を発行しました。テーマは「国のかたちを考える-これからの社会基盤づくり」。人口減少時代を迎えた日本での持続可能な社会基盤づくりに向けた広範な課題を取り上げ、これからの「国のかたち」を提示します。
18日に発生した大阪北部地震では、鉄道網が途絶し、道路網も混乱を来しました。水道管が破裂し、ガスの供給を絶たれた地域もありました。災害時にも強靱(きょうじん)で必要な機能を維持できる社会基盤の必要性が改めてクローズアップされたと言えるでしょう。
ただ公共財政が逼迫(ひっぱく)し、安全で快適な暮らしに欠かせない社会基盤を取り巻く環境は変化しつつあります。そうした中でも地方創生や都市再生、観光振興、国際貢献、生産性向上に果たす社会基盤と建設産業の役割は決して小さくありません。本特集では国を持続的な成長に導く視点から、今、「国のかたち」を考えます。
日本の都市が抱える問題の一つに「スポンジ化(空洞化)」があります。人口減少と少子高齢化の進展に伴って虫食い状態のように空き地や空き家が増える問題で、有効な施策を講じていかなければ都市機能の衰退が懸念されます。
新たな成長とビジネスの起爆剤、観光・地域振興、雇用創出といった幅広い経済効果の発現につながると期待されるのが、カジノを含む統合型リゾート(IR)施設の整備法案です。今国会での成立を見越し、自治体の施設誘致活動も熱を帯びています。国土交通省は高規格幹線道路、大型港湾、国際空港の整備・拡充で後押しする方針です。
地球温暖化による影響が深刻化する中、気候変動対策と防災分野の取り組みには重なる部分も多くあります。これからは事前防災・減災の取り組みを「コストではなく投資」という視点に切り替え、両対策の一元化を図っていくことがより重要となります。
社会基盤づくりを担う建設産業も今、変革を迫られています。建設生産のすべての過程にICT(情報通信技術)、IoT(モノのインターネット)などの導入を目指す石井啓一国交相。成長戦略の柱の一つであるインフラ輸出でも国交省は日本独自のICTの活用を柱とする現場の生産性向上策「i-Construction」の海外展開を見据えています。
生産工程に3次元データを活用するCIM(コンストラクション・インフォメーション・モデリング)/BIM(ビルディング・インフォメーション・モデリング)の普及によって、新3K(給与・休暇・希望)を実現し、魅力のある現場への変革によって多様な人材を呼び込む未来を描きます。
企業の投資判断に使われる指標として「ESG(環境・社会・企業統治)」が大きく注目されるようになっています。本特集では建設企業の推進体制などについてアンケートも実施しました。各指標への適切な対応を通じ、未来に「選ばれる企業」となるための取り組みが始まっています。
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