2018年6月26日火曜日

【遠隔地から振動常時監視】三井住友建設、軍艦島(長崎市)のRC建物に振動計測システム設置

 三井住友建設は25日、長崎市の端島(通称軍艦島)にある国内最古の高層RC造建築物「30号棟」に、振動を常時計測する「ヘルスモニタリングシステム」を設置し、実証運用を開始したと発表した。老朽化が著しい建物を遠隔から常時監視し、倒壊の危険性を示すデータを得ることで、システムの精度を向上させる狙いだ。

 システムは東京大学発のベンチャー企業ソナス(東京都渋谷区、大原壮太郎代表取締役)が保有する計測システムを構造物用として活用するため、三井住友建設とソナスが共同開発した。実証運用は長崎市と共同で行い、東大地震研究所の楠浩一教授の助言を受けた。

 システムは微細な揺れを常時監視し、建物の異常検出時にはアラートで建物所有者に危険を警告する。一般的なセンサーよりも高精度なため、これまで計測ノイズに埋もれていたわずかな変化も検知する。三井住友建設の独自技術により完全ワイヤレス化を実現しており、通信・電力ケーブルを設置せずに常時モニタリングできる。

 地震後の建物の使用可否も瞬時に判断できるため、人海戦術で行っていた従来の保守点検の在り方の抜本的な改善や、技術者不足の解消に期待がかかっている。劣化が進む30号棟にセンサーを設置することで、一般的な建物からは得られない貴重な劣化データを蓄積する。今後はデータを分析して損傷判定(倒壊判定)を行うなど、状態を把握・判定するための方法論確立に取り組む方針だ。

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